渡辺清 (野球)

渡辺 清

渡辺 清（わたなべ きよし）氏は、1932年11月30日に福岡県で生まれ、プロ野球選手として活躍した外野手です。

球歴のはじまり

故郷福岡県の県立戸畑高等学校に進学した渡辺氏は、高校時代は投手としてマウンドに立ち、チームのエースを務めました。甲子園球場で行われる全国高等学校野球選手権大会への出場は叶いませんでしたが、その後の野球人生へと繋がる経験を積みました。

高校卒業後、専修大学へ進学。大学3年生からは外野手へとコンバートされ、打撃と守備に磨きをかけました。在学中には東都大学野球リーグで実に4度もの優勝を経験するなど、大学球界で確固たる実績を残しました。特に、4年生だった1954年の第3回全日本大学野球選手権大会準決勝では、後にプロでも活躍する「五人衆」と呼ばれる秋山登投手や土井淳捕手らを擁する強豪、明治大学に敗れはしたものの、印象的なプレーを見せました。この専修大学硬式野球部の同期には、後にプロでも共にプレーする岡本健一郎氏や片山嘉視氏がおり、1955年に彼らと共に揃って阪急ブレーブスへと入団しました。

プロ入り、阪急での躍動

プロ入り1年目となる1955年から、渡辺氏は外野手のレギュラーとしてすぐにチームの戦力となりました。年間132試合に出場し、パシフィック・リーグの最終規定打席にも到達。打率.303という素晴らしい成績を残し、リーグ5位の高打率を記録しました。しかし、この年の新人王争いでは、打率.298ながらホームランや打点などで当時の高卒新人記録を塗り替えた毎日オリオンズの榎本喜八選手の後塵を拝し、惜しくも新人王獲得はなりませんでした。

阪急時代の渡辺氏は、記録にも残る活躍を見せます。1956年、1957年と2年連続でランニングホームランを記録。さらに、1957年7月19日に大阪球場で行われた近鉄パールス戦では、歴史に名を刻む一打を放ちました。第2打席で、日本プロ野球公式戦における通算10000号ホームランという記念すべき記録となる一打を記録しました。この試合では、延長13回までもつれ込んだ熱戦の中、サイクルヒット（単打、二塁打、三塁打、本塁打を1試合で全て記録すること）をも達成するという離れ業を演じ、史上14人目の快挙を成し遂げました。

しかし、順調に見えたキャリアに陰りが見え始めます。1958年に目の故障を経験してからは、残念ながら公式戦への出場機会が減少していきました。

大洋での栄光と引退

出場機会が減少した渡辺氏は、1960年に大洋ホエールズへ移籍。偶然にも、大学時代のライバルであり、前述の「五人衆」の一部が所属するチームでした。大洋に移籍した渡辺氏は、すぐに中堅手のレギュラーポジションを獲得。打率は.212と必ずしも高くなく、セントラル・リーグの規定打席到達はなりませんでしたが、献身的なプレーでチームを支えました。そして、この年、チームにとって創立以来初となるセ・リーグ優勝に大きく貢献しました。

さらに、榎本喜八選手を中心とした強力打線を誇る大毎オリオンズとの日本シリーズでは、11打数4安打と結果を残し、チームの快進撃を牽引。特に、第4戦では決勝点となるホームを踏み、チームの4連勝による初の日本一達成に貢献しました。

チームの歴史的な瞬間に立ち会った渡辺氏でしたが、翌1961年限りで現役を引退しました。

プロ野球選手としてのキャリアで、サイクルヒット達成や日本一貢献など、記憶に残る多くの場面を演じました。

背番号
阪急ブレーブス: 23 （1955年 - 1959年）
大洋ホエールズ: 29 （1960年 - 1961年）

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