渡辺直綱

渡辺直綱（わたなべ なおつな）

渡辺直綱は江戸時代前期に活躍した紀州藩士であり、慶長6年（1601年）に渡辺新左衛門秀綱の二男として誕生しました。父の秀綱は、徳川家康に仕え、関ヶ原の戦いにも出陣するなど、武士としての道を歩んできました。直綱は、父と共に尾張藩主・徳川義直に従い、彼のもとで大坂の陣に参加しました。

元和2年（1616年）、直綱は駿河国で徳川頼宣に召し出され、3000石の知行を賜りました。これは、彼が藩の中で重要な役割を果たすことを意味しました。その後、元和3年（1617年）には鉄砲足軽50人を預かることとなり、元和5年（1619年）には主君・徳川頼宣が紀州に転封された際も、同行しました。

その後の経歴の中で、寛永3年（1626年）には紀州隅田組の15騎を与力として預かるなど、彼の地位を確立していきました。また、寛永11年（1634年）には3000石の加増を受け、知行が6000石に達しました。さらに、正保2年（1645年）には従五位下の若狭守に叙任され、明暦元年（1656年）には更に2000石の加増を受け、最終的には知行が8000石となりました。

万治元年（1658年）には、藩主・徳川頼宣の三男、松平頼純の長男の松之助（後の恭綱）を養子に迎え、家の繁栄を図りました。しかし、直綱の生涯は寛文8年（1668年）の死去によって幕を閉じ、享年は68歳でした。家督は嫡男・令綱が相続しました。

その後の令綱についてですが、貞享5年（1688年）に不行跡が理由で隠居謹慎を命じられました。この背後には、直綱の遺言に従って遺領8000石のうち3000石を恭綱に分知することが含まれていましたが、令綱がその遺命を実行しなかったため、問題が発生したとされています。結果として、令綱の家督は嫡子である新次郎国綱が2000石で相続を許されることとなりました。

渡辺直綱の生涯は、父と同じく徳川家に仕え、その忠誠心と軍功によって家格を高めていったことを示しています。また、彼の家族や後継者たちに対する影響を反映しており、藩内での権力の流れにどのように関連していたのか考察するための良い材料を提供しています。直綱の歴史は、江戸時代の武士としての生き方や家族の情勢を理解するために貴重な情報源となります。

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