渡辺翁記念会館

渡辺翁記念会館について

渡辺翁記念会館（英：Watanabe Memorial Hall）は、山口県宇部市朝日町に位置する著名な音楽ホールです。本施設は、日本のモダニズム建築の名作のひとつとして認識されており、設計は村野藤吾によるものです。そのため、渡辺翁記念会館は国の重要文化財として指定されています。

建設の背景

この会館の設立は、UBE（旧・宇部興産）の創業者である渡辺祐策の功績を称える目的で行われました。渡辺祐策が設立に関与した沖ノ山炭鉱など、後に合併して宇部興産を形成する7つの企業が集まり、「渡辺翁記念事業委員会」を組織し、このホールを建設しました。1934年に渡辺祐策が亡くなった後、宇部市では市民公会堂の必要性が高まり、この記念事業の一環として市民館の建設が決定されました。

工事は1935年に始まり、1937年には「渡辺翁記念会館」として竣工しました。その年の7月には市民に開放され、以来、地域社会に根付いた文化活動の中心拠点となっています。会館の前には「渡辺翁記念公園」が広がっており、市の公園として管理されています。この公園内には、1936年に建立された「渡辺祐策翁像」がありますが、戦争中に一度撤去されたものの、1952年に再建されました。

建築の魅力

村野藤吾は、渡辺翁記念会館の設計にあたり、特に音響特性に配慮しました。音響工学の専門家である佐藤武夫の助言も受け、演奏者が舞台上で他の演奏者の音をしっかりと聞き取れるような音作りを実現しています。その結果、この会館は1951年に著名なバイオリン奏者ユーディ・メニューインによる演奏会が行われるなど、優れた音響効果で広く知られるようになりました。

建物自体は、鉄筋コンクリート構造であり、外壁は黒褐色のタイル張りが施されています。周囲には6本の「記念柱」が立てられ、これが会館を寄贈した企業を象徴しています。1976年には老朽化に伴う初回の改修工事が完了し、1979年には隣接地に宇部市文化会館が開館しました。また、1992年から1994年にかけて2回目の改修工事が行われています。

認定と受賞

渡辺翁記念会館は、長期にわたる使いやすさと適切な管理が評価され、様々な賞を受賞しています。1995年には、ロングライフビル推進協会から第4回BELCA賞（ロングライフ部門）を獲得し、1997年には登録有形文化財に登録されました。さらに1999年にはDOCOMOMO Japanにより近代建築の優れた例として20選に選出されています。2005年には国の重要文化財としても認定されました。

交通アクセス

渡辺翁記念会館へのアクセスは非常に便利です。JR宇部線の宇部新川駅からは徒歩わずか3分の距離にあります。また、宇部市営バスの「宇部新川駅」からも同様に徒歩3分です。

このように、渡辺翁記念会館は音楽文化の中心として、多くの人々に愛され、地域に根ざした重要な建物となっています。音楽を通じて人々が集まる場所として、今後もその役割を果たしていくことでしょう。

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