渡邉佐平

渡邉佐平（わたなべ さへい）は、1903年に生まれ、1983年に亡くなった日本の著名な経済学者です。彼は法政大学の総長を務めたことでも知られています。

栃木県出身の渡邉は、1927年に東京帝国大学経済学部経済学科を卒業後、法政大学に職を得て、経済学部講師として教鞭を執り始めました。その後、助教授を経て1933年には教授に昇進し、金融論や貨幣論といった分野を担当しました。彼の専門知識と情熱は多くの学生たちに影響を与え、法政大学における経済学研究の発展に大きく貢献しました。

また、渡邉は研究者としての活動にとどまらず、社会的な活動にも積極的に関わりました。後藤隆之助らが中心となって組織した昭和研究会にも参加し、その研究者養成機関である昭和塾でも講師を務めました。この活動を通じて、彼は当時の社会問題や経済政策に関する議論に深く関わり、その見識を社会に広める役割を果たしました。

戦後、1948年には政府の経済安定本部員として国民所得調査室長を務め、戦後の経済復興と安定に貢献しました。その経験は、彼の経済学者としての視点をより深め、後の研究活動に大きな影響を与えました。法政大学では経済学部長や常務理事といった要職を歴任し、大学運営にも深く関わりました。

1960年には「通貨学派の研究」というテーマで経済学博士号を法政大学から取得し、その研究成果は広く認められました。1967年には法政大学の総長に就任し、大学の発展に尽力しました。在任中には、町田市へのキャンパス移転計画などを推進しましたが、学生紛争が激化する中で体調を崩し、1968年に総長を辞任しました。



渡邉佐平の著作は、経済学の分野において重要な文献として広く読まれています。主な著書としては、以下のようなものが挙げられます。

共訳 ソーントン『紙券信用論』（実業之日本社、1948）
『金融論』（岩波書店、1954）
『現代の金融政策』（日本評論新社、1963）
『インフレーション理論の基礎』（日本評論社、1970）
『金融論講義』（法政大学出版局、1975）
『インフレと暮らし』（新日本評論社、1975）
* 『地金論争・通貨論争の研究』（法政大学出版局、1984）

これらの著作は、金融論やインフレーション理論など、彼の専門分野における深い洞察と研究成果を示しており、現代の経済学の研究にも大きな影響を与えています。渡邉佐平は、教育者、研究者、そして大学運営者として、多岐にわたる分野でその才能を発揮し、日本の経済学の発展に大きく貢献した人物として、その名を歴史に刻んでいます。

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