渥美国泰

渥美国泰：俳優と美術評論家の二足のわらじを履いた生涯

渥美国泰（あつみ くにやす、1933年1月1日 - 2009年2月5日）は、日本の俳優であり、美術評論家としても著名な人物でした。東京都新宿区出身。東京都立九段高等学校卒業後、1951年に劇団俳優座附属養成所に入学します。愛川欽也氏ら著名な俳優たちと同期でした。

養成所卒業後は劇団新人会に参加。その後、幾つかの劇団を経て、1965年には劇団雲に入団、1975年には演劇集団 円を旗揚げするなど、精力的に活動しました。1979年には円を退団し、アクト青山ドラマティック・スクールを主宰、後進の育成にも尽力しました。

彼の活動は舞台にとどまりませんでした。映画、テレビドラマ、ラジオと幅広く活躍し、数々の作品に出演。特に声優としての才能も高く評価され、ハリウッドを代表する名優、ジョゼフ・コットンやロバート・ミッチャムの吹き替えを担当したことで知られています。

渥美氏は、大河ドラマをはじめとする数多くのテレビドラマに出演。その作品数は膨大で、『太陽にほえろ!』、『必殺シリーズ』、『西部警察』など、国民的人気作品にも名を連ねています。また、映画でも『踊る大捜査線 THE MOVIE|踊る大捜査線_THE_MOVIE』など幅広いジャンルの作品に出演し、高い演技力で観客を魅了しました。

出演作品は多岐にわたり、時代劇から現代劇まで、その演技力は高く評価されていました。端役から重要な役まで、あらゆる役柄をこなし、作品に深みを与える存在でした。

その一方で、渥美氏は美術評論家としても活躍していました。長楽斎と号し、近世書画研究会・芸林木曜逍遥会を主宰。江戸時代の書画を集めた江戸民間書画美術館を開設し、館長を務めました。

美術に関する造詣も深く、数多くの著作を出版。例えば、『探求・下村為山－洋画家から彩墨画への道』、『岸田國士論考－近代知識人の宿命の生涯』など、彼の深い知識と洞察に満ちた著作は高い評価を受けました。これらの著作は、美術史や日本文化研究において重要な参考文献となっています。

2009年2月5日、脳腫瘍のため76歳で逝去。俳優として、そして美術評論家としての、彼の多彩な才能と多大な功績は、今もなお多くの人々の記憶に深く刻まれています。彼の残した作品と著作は、後世に継承され、日本の文化遺産として大切に保存されていくことでしょう。彼の功績を称え、改めてその生涯を振り返ることで、彼の多才さと、社会への貢献の大きさを再認識することができるでしょう。

彼の活動は、俳優としてのみならず、教育者、美術評論家としての側面も持ち合わせており、多角的な活躍が彼の魅力の一つだったと言えるでしょう。彼の才能は、日本の演劇界、映画界、そして美術界に大きな影響を与え続けました。その功績は、多くの作品、著作、そして彼を慕う人々の記憶の中に生き続けています。

もう一度検索