温品氏

温品氏の歴史と影響

温品氏（ぬくしなし、ぬくしなうじ）は、中世日本における氏族で、その成り立ちは室町時代にさかのぼります。この氏族は金子氏の一部であり、特に安芸国高宮郡玖村を中心に栄えていました。温品氏の名称は、温科村から取られたもので、その歴史的背景は興味深いものがあります。

始まりと承久の乱

温品氏の起源は、承久の乱の際に金子小次郎家正が関東から下向したことに始まると伝えられています。詳しくは、承久3年に金子慈蓮が戦功により安芸国の地頭職に任命され、その孫である金子盛忠がその地位を継承したとする説があります。これにより、温品氏は安芸国での重要な氏族としての地位を確立しました。

安芸武田氏との関係

鎌倉時代から室町時代にかけて、温品氏は安芸武田氏の家臣として活動しました。その中で、庶流が大内家臣の陶氏に仕えるようになったことがわかります。文明11年（1479年）には、温科秀親が陶氏の家臣連署に名を連ね、延徳3年（1491年）にはその子である温科護親も同様の文書に名を記しています。これらの記録から親子関係が推測され、温品氏の家系が確立していたことがうかがえます。

温品氏の反乱と滅亡

明応8年（1499年）には、宗家の当主である温科国親が安芸武田氏の当主である武田元繁からの離反を起こし、これが安芸武田氏の基盤を揺るがす大規模な反乱に発展しました。この反乱は、安芸武田氏だけでは鎮圧できず、足利将軍家からの指示を受けた毛利氏や、安芸武田家臣の熊谷膳直らが攻撃に加わりました。結果として、温品氏は滅亡の運命を迎えました。

後の活動と影響

温品氏の庶流は、後に大内氏やその家臣である周防内藤氏、毛利氏などに仕官し、さまざまな活動を行いました。特に有名なのは、宗像氏と協力関係にあった温科盛長や温科種重です。大内氏滅亡に際しては、周防内藤氏に仕えていた温品一族が大内方と毛利方に分かれて争い、その結果、一部は滅亡しました。

温科種重の功績

温科種重は、通称を吉左衛門尉とし、大内家から宗像氏の与力となった安芸温品氏の一族で、水軍の将としても知られる存在です。彼は、大内氏が滅亡した後にも毛利氏に仕え、重要な役割を果たしました。特に、石見銀山との交通路に関する権利を有していたことから、その影響力がうかがえます。弘治3年（1557年）の反乱時には、山口奉行に従い、その鎮圧に尽力しました。

最後に

温品氏は、安芸国における重要な氏族の一つであり、その歴史には多くの興味深いエピソードが含まれています。彼らの活動は、当時の地域の政治情勢や家臣の関係に大きな影響を与え、今なお研究の対象となっています。

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