温熱療法 (オウム真理教)

オウム真理教の温熱療法とは

この文では、オウム真理教が実施していた温熱療法について解説します。一般的な温熱療法が持つ医療的な目的とは異なり、オウム真理教のそれは修行または懲罰の一環として行われていました。具体的には、温度が47度から50度のお湯に15分から20分浸かる必要があり、さらに60度のサットヴァレモンという特殊な飲料も摂取しなければなりません。この過程を通じて、信者たちは極度の苦痛に晒されました。

この療法の背景には、オウム真理教附属医院で林郁夫によって確立された治療法が存在します。しかし、この方法は単なる治療としてではなく、信者に対する過酷な試練や懲罰としても多く用いられました。

また、オウム真理教がLSDなどの薬物を使用した「キリストのイニシエーション」を実施する際にも、この温熱療法は利用され、残留成分を排出するための手段とされていました。その結果、多くの信者の命が失われる悲劇が発生しました。

温熱療法に関連する事件

オウム真理教によるこの療法は、複数の悲劇的な事件に繋がっています。

元仙台支部長温熱死事件

1994年7月15日、元教団仙台支部長の男性信者が麻原彰晃の愛人との関係を問題視され、耐えられるまで温熱に入るよう命じられました。彼は途中で逃げ出そうとしましたが、他の信者によって強制的に温熱を続けさせられた結果、全身やけどを負い、数日後に亡くなりました。事件は同意の上であったことを理由に立件されることはありませんでした。彼の変わり果てた姿を見た林泰男は、その後男女交際を避けるようになったと言います。

女性信者温熱死事件

同じく1994年、50代の女性信者が温熱療法によって命を落としました。彼女の死は修行中のものであったため異例として葬儀が行われ、麻原は「温熱を熱いと感じ、それを乗り越えられなかったから死んだ」と発言しました。

女性看護師監禁事件

この事件の被害者は女性看護師で、出家信者でした。彼女は温熱療法の危険性に疑念を抱き、在家信者としての生活に戻ろうとしては何度も脱走を試みました。しかし、その度に新実智光らに捕まり、最終的に1994年10月26日まで自治省管轄のコンテナに監禁されました。その環境は非常に過酷で、気温は40度に達し、ハエがたかるなど、非常に劣悪なものでした。

徳島市職員温熱死事件

2004年には、オウムの後継団体Alephの在家信者が自宅で温熱療法を行い、死亡しました。このように温熱療法に関連した悲劇は後を絶ちません。

男性信者温熱死事件

さらに、2005年にはAlephの男性信者が温熱中に亡くなり、その様子は教団の教学ビデオに記録されたとも言われています。

結論

オウム真理教の温熱療法は、信者たちに対する厳しい試練として行われ、多くの人々の命を奪いました。極端な修行方法が引き起こした一連の事件は、教団の恐ろしい実態を物語っています。これらの事件は、オウム真理教やその後継団体における信者の扱いの過酷さを示すものであり、今なお多くの人々の記憶に残っています。

もう一度検索