港大尋

港 大尋（みなと おおひろ）

港 大尋（みなと おおひろ）は、1969年12月9日に東京都で生まれた日本の作曲家、音楽プロデューサー、ピアニスト、そしてシンガーソングライターです。写真家の港千尋は実兄にあたります。

経歴

港大尋は、1992年に国立音楽大学音楽学部楽理学科を卒業しました。音楽活動と並行して教育にも携わり、2001年から2013年まで東京芸術大学の、2003年から2009年まで京都造形芸術大学の、そして2014年から2015年まで有明教育芸術短期大学の非常勤講師を務め、後進の指導にあたりました。

受賞歴

その作曲活動は評価されており、第6回奏楽堂日本歌曲コンクール作曲部門においては第3位に入賞しています。

作品

港大尋は、様々な編成やジャンルにわたる幅広い作品を発表しています。主な作品群は以下の通りです。

ピアノ曲: 独奏曲から連弾曲まで手掛け、「ディアスポラ」（2002年）、「暗喩が眼差すとき」（2台ピアノ、2002年）、「誰のものでもない息」（2003年）、「コーリングユアネーム」（2006年）などがあります。

声楽曲: 独唱やアンサンブルのために作曲しており、「ポール・クレーの絵による絵本のために」（1995年）、「万年サロメ」（2000年）、「牧水の鳥のうた」（2000年）、「とおみのうた」（2001年）、「金時鐘の詩による３つのうた」（2002年）、「声の重力を測るとすれば」（2006年）などが知られています。

合唱曲: 合唱作品も手掛けており、「これはうたではない」（2003年）、「金時鐘の詩による合唱2篇」（2005年）、「沈黙もまた、重力に抗って」（2011年）、「瞼を閉じれば、無重力の声色だけが」（2012年）などを発表しています。

室内楽曲: 多様な楽器編成による室内楽作品も多数創作しています。「われわれは、それでも、うたい、おどり、夢をみる」（ヴァイオリン、オーボエ、クラリネット、ファゴット、1998年）、「すべてたまたま」（マリンバ、ピアノ、1999年）、「忘却の忘却」（声、三味線、箏、打楽器、1999年）、「空と青みのまちがいさがし」（ヴァイオリン、マリンバ、2000年）、「届くことのない12通の手紙」（マリンバ、2000年）、「遠みから遠ざかってみても」（サクソフォーン、ピアノ、2001年）、「かげふみとじらいふみ」（ヴァイオリン、マリンバ、2001年）、「空に字幕をつけてみれば」（打楽器デュオ、2001年）、「おてだまとながれだま」（三味線、マリンバ、2002年）、ヴァイオリン独奏曲「amnesia, anecdote, asylum」（2005年）、オーボエ独奏曲「鏡に映った12の息」（2005年）、「あたかも」（ピアノ、打楽器、2005年）、「森のグルーヴ」（トロンボーン、マリンバ、2010年）などがあります。

* その他: 上記のジャンル以外にも、「さいあくじょうどへほい」（朗読とピアノ、1996年）といった形式の作品も手掛けています。

録音作品と参加

自身の作品を収めたCDも多数リリースしています。個人名義では「ちゃのは」（1997年）、「24のプレリュード」（2016年）などがあります。また、「ソシエテ・コントル・レタ」名義では、「ありったけのダイナシ」（2001年）、「風は海の深い溜息から洩れる」（2003年）、「ひらひらの生」（2014年）、「0点の世界」（2014年）といったアルバムを発表しています。

作曲や演奏で、他のアーティストのアルバムにも多数参加しています。茂木大輔氏の「プレイズモーツァルト」（1998年）、「イタリアン・リサイタル」（1999年）、通崎睦美氏の「M×ピアソラ」（1999年）、「届くことのない12通の手紙」（2001年）、竹田恵子氏の「ギョウザの夢」（2001年）、「オペラひとりっ切り　小熊と賢治」（2006年）をはじめ、「日本の作曲・21世紀のあゆみ16」（2002年）、「若山牧水　歌の調べ」（2004年）、「ビリーブII　歌いつがれる卒業式の歌」（2004年）といった企画盤、「パッチギ Love&Peace サウンドトラック」（2007年）、「ザ・フォーク・クルセダーズ 若い加藤和彦のように」（2013年）、田中宏史氏の「Walking on air」（2014年）など、その参加作品は広範囲にわたります。

他分野での活動

音楽制作は多岐にわたり、舞台作品への音楽提供も積極的に行っています。「オシリス」（1999年）、「おかしかなし月下乃道化」（2004年）、「ヨーグルトを探して」（2009年）、「トゥリーモニシャ」（2011年）、「夏の夜の夢」（2012年）などの舞台作品に携わっています。また、展覧会「はじまりの造形 まねること くりかえすこと リズムの起源」（2014年）にも参加し、映画音楽としては「未来をなぞる」（2015年）を手掛けています。

著書

音楽に関する著述活動も行っており、共著として「最新MIDI DATA制作術 基礎編」（1994年、東亜音楽社）、「記憶表現論」（2009年、昭和堂）を出版しています。

港大尋は、作曲、演奏、プロデュース、教育、執筆と、音楽を軸に幅広い活動を展開する多才な音楽家です。その活動は現代音楽からポピュラー音楽、映像や舞台音楽まで及び、常に新しい表現を追求しています。

もう一度検索