茂木大輔

茂木大輔は、1959年3月8日に東京都で生まれ、日本の音楽界に多大な貢献をしているオーボエ奏者です。彼は、単なる演奏家にとどまらず、エッセイスト、指揮者、コンサートプロデューサーとしても幅広い才能を発揮しています。中央大学附属高等学校を経て国立音楽大学音楽学部器楽学科でオーボエを専攻し、その才能を開花させました。

大学卒業後、茂木は更なる研鑽を積むため、1981年にドイツのミュンヘン国立音楽大学大学院へ留学しました。ギュンター・パッシン教授に師事し、オーボエ奏者としての技術を磨くと共に、音楽に対する深い洞察力を養いました。大学院修了後は同大学で講師を務め、後進の育成にも力を注ぎました。

1987年、茂木はシュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦楽団の第1オーボエ奏者として入団し、プロのオーケストラ奏者としてのキャリアをスタートさせました。その後、バイエルン放送交響楽団やバンベルク交響楽団など、ヨーロッパの名だたるオーケストラにも客演首席奏者として迎えられ、国際的な評価を高めました。

1990年に帰国した茂木は、1991年4月からNHK交響楽団の首席オーボエ奏者に就任しました。また、新星日本交響楽団でもオーボエ奏者を務める傍ら、ソリストとしても活動し、山下洋輔のようなジャズミュージシャンとも共演するなど、クラシック音楽の枠にとらわれない幅広い活動を展開しました。山下洋輔が作曲した無伴奏オーボエのための「レディ・ラビットへの手紙」は、茂木に献呈された作品で、ミュンヘンでの初演以降、日本国内だけでなくロッテルダムなど海外でも演奏されています。また、ジャン・フランセの「オーボエ、バスーン、ピアノのためのトリオ」やアンドレ・プレヴィン作曲の同編成のトリオの日本初演を、岡崎耕治氏と共に実現させました（プレヴィン作品では作曲者自身がピアノを担当）。オーボエをパッシンの他に、丸山盛三氏にも師事しています。

1996年、三鷹市芸術文化センターでの「オーケストラ人間的楽器学」シリーズを皮切りに、指揮者としての活動も本格的に開始しました。企画、指揮、トークを全てこなすコンサートは、クラシック音楽の入門として全国各地で好評を博しています。2001年には日本フィルハーモニー交響楽団を指揮するなど、その活動の幅を広げています。また、N響の現役オーボエ奏者でありながら、金沢、名古屋、大阪、福岡など各地で数多くのオーケストラや合唱団の指揮を務めています。指揮法は、岩城宏之、外山雄三、広上淳一、三河正典の各氏に師事しました。

2018年10月5日には、NHK交響楽団の第38回「有馬賞」を受賞し、長年の功績が認められました。2019年3月8日にNHK交響楽団を定年退職しましたが、同年11月6日には心筋梗塞で救急搬送されるという出来事もありました。幸いにも11月17日には退院し、現在は復帰を果たしています。

茂木は漫画『のだめカンタービレ』の音楽化にも尽力し、作者の二ノ宮知子氏とは深い親交があります。作品中のクラシック音楽に関する様々な助言を提供しており、その音楽監修は作品のリアリティを高める上で不可欠な要素となっています。

彼の活動は演奏のみならず、作曲、企画、執筆など多岐にわたります。月刊「バンドジャーナル」誌（音楽之友社）にはコラムを連載しており、その独特な視点とユーモアあふれる文章は多くの読者を魅了しています。愛称は「もぎぎ」で、これは自身のコラムのタイトルにもよく使われています。

趣味も多岐にわたり、艦船模型、落語、料理、ジャズピアノ、漫画など、その興味は非常に幅広いものです。落語においては「古典亭盃呑（こてんてい・はいどん）」という亭号を持ち、その多彩な才能をうかがい知ることができます。

著書も多数あり、『オーケストラは素敵だ-オーボエ吹きの楽隊帖-』、『続・オーケストラは素敵だ-オーボエ吹きの修行帖-』、『オーケストラ楽器別人間学』など、自身の経験や音楽への愛情が詰まった作品を世に送り出しています。

また、『のだめカンタービレ』を題材にした書籍や、クラシック音楽の入門書も執筆しており、一般の人々にもクラシック音楽の楽しさを広める活動を積極的に行っています。

テレビ番組にも出演しており、NHK交響楽団の公演や「N響アワー」に加え、「宇宙一せまい授業!」や「NMBとまなぶくん」などのバラエティ番組にも登場し、そのユニークなキャラクターと深い音楽知識で視聴者を魅了しています。作曲家としても才能を発揮しており、木管五重奏のための「父の掌」や、オーボエとピアノのための「Vertical Rain」（垂直の雨）などの作品を手掛けています。

茂木大輔は、オーボエ奏者としての卓越した技術に加え、多岐にわたる活動を通じて、クラシック音楽の魅力を広め、多くの人々に感動を与え続けています。

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