湖城流

湖城流（こじょうりゅう）

湖城流、またの名をこぐすくりゅうは、沖縄本島の那覇久米村に伝わる特異な空手の流派です。この流派は、士族である湖城家に秘伝として受け継がれてきました。その特徴は、連続的な打撃技を行った後に、取手と呼ばれる関節技や投げ技を用いて、相手を抑え込むことにあります。

歴史と起源

湖城流の流祖は、唐の名を持つ蔡肇功（さいちょうこう）、または湖城親方として知られています。彼は中国で兵法を学び、康熙帝からの証明書を受けて帰国後、家族に武術を授けました。湖城流の歴史には、多くの世代にわたって受け継がれた技術や理念が刻まれています。

初代湖城親雲上から九代湖城英昭に至るまで、家系は武術を守り続け、その過程で彼らは様々な師から教えを受けました。特に、三代の湖城以正は、中国の武官イワァーに師事し、その技術を深めました。命名には湖城嘉富が関与し、元々は「小林流」や「辰山流」と呼ばれていましたが、後に「湖城流」へと改名された経緯があります。

特徴と技法

湖城流の流派には6つの型が指定されています。それには、白鶴、白龍、白虎、天巻、空巻、地巻などが含まれます。また、古くから伝わる首里手形や杖術、棒術、サイ術の型も存在します。

12の構え

型の中には、十二支に基づいた特定の構えが含まれており、それぞれの型が以下のように分類されます。

• - 正真型（子）、不動型（丑）、陳風型（寅）、十文字型（卯）、雲竜型（辰）、合気型（巳）、正眼型（午）、動岩型（未）、天地型（申）、吹下型（酉）、地正眼型（戌）、一文字型（亥）

これらの型は三つのグループ、すなわち天巻、空巻、地巻に分けられ、最終的には一つの長い型としてまとめられます。湖城流の型は、他の空手流派ではあまり目にすることがない貴重な遺産です。

さらに、湖城流の特徴として、一般的な空手で多く用いられる正拳突きを重視しない点が挙げられます。湖城流では、一本拳（コーサー）、肘打ち、掌底など多様な技法を使用し、突きや蹴りで終わるのではなく、取手（関節技）を使って相手を押さえ込むことが重視されます。

このように、湖城流は単なる打撃技術の集成を超え、複雑で高度な武術体系として位置づけられています。湖城嘉富は「枝葉を全部落としてから、幹を切り刻む」と述べるように、相手へのダメージを最小限に抑えつつ、その後の動作で確実に勝利を収める技法を追求しました。

現代における伝承

1975年に湖城嘉富が道場を閉じた後は、湖城家は表舞台から姿を消しましたが、弟子たちが異なる場所で湖城流を広めています。現在では、最後の弟子と認可された山田道夫（八段位）が、この流派の特色を継承しています。

湖城流の中心に位置する技術は、17世紀の尚質王の時代から存在した組打法に由来しているとされ、その伝承は深い歴史的背景を持っています。古い武術文化と現代の空手との関連性は依然として解明されていない部分が多いですが、湖城流が持つ独自のエッセンスは、これからも受け継がれ続けることでしょう。

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