関節技

関節技

関節技は、格闘技や武道において、相手の関節の可動範囲を制限し、動きを封じる技術の総称です。関節の可動域を限界以上に広げたり、通常とは異なる方向に力を加えることで、靭帯の損傷や脱臼を引き起こす可能性があります。軍隊格闘術にも応用されるほど、その制圧能力は高いですが、同時に危険性も伴います。

概要

関節技は、相手の関節を直接極める技だけでなく、絞め技のように関節周辺を圧迫する技も含まれる場合があります。これらの技は、「サブミッションホールド」や「極め技」と呼ばれることもあります。技が完全に決まり、相手が脱出不可能で、かつ関節に破壊的な危機が迫り、耐えがたい痛みを感じる状態を「極まる」と表現します。

柔道では、関節技は固技の一種として分類され、抑え込み技や絞め技と共に重要な要素となっています。一方、プロレスでは、競技の特性上、関節の可動部やその周辺を締め付ける形の技が多く見られます。これらは厳密には「締め技（ストレッチ技）」に分類されますが、広義には関節技として扱われることもあります。プロレスにおいては、技の見た目だけでなく、実際に相手に痛みやダメージを与えることが重要視されるため、格闘技の関節技とは異なる側面があります。そのため、関節技に限らず、格闘技とプロレスの技を同列に語ることは難しい場合があります。

特徴

関節技の最大の特長は、技が決まれば、梃子の原理を利用して、体格や体力差を覆せる点です。また、相手に痛みを与える程度の力加減であれば、解放後に後遺症が残りにくいという利点もあります。そのため、護身術や逮捕術など、相手を無傷で制圧する必要がある場面で重宝されます。

関節技を極めるには、殴る、倒すといった本能的な動作よりも、技の構造や人体の骨格に関する深い理解が求められます。このようなテクニック重視の傾向から、関節技を主体とするブラジリアン柔術は、ボクシングやレスリングなどの他の格闘技と比較して、運動量が少ない傾向にあります。近年、ブラジリアン柔術の競技人口が拡大している背景には、このような特徴も影響していると考えられます。

しかし、関節技には、関節に過度な力が加わることで靭帯が断裂し、後遺症として関節が不安定になるリスクが伴います。これにより、変形性[[関節症]]や半月板損傷、反復性脱臼などを引き起こす可能性があります。特に、頸椎や脊椎を極める技は、重大な後遺症を残す危険性があるため、多くの競技で禁止されています。過去には、関節技による死亡事故も発生しており、その危険性が改めて認識されています。

種類

関節技には、様々な種類が存在します。代表的なものとして、以下のものがあります。

腕関節技：腕挫十字固、腕緘、アームロックなど
肩関節技
脚関節技：アキレス腱固め、膝十字固め、アンクルホールドなど
首関節技：ネックロック、フルネルソン、フェイスロックなど
* 複合関節技：チキンウィングフェイスロック、ロメロ・スペシャルなど

これらの技は、それぞれ関節の可動範囲や構造を考慮して、様々なバリエーションが存在します。

名称

関節技は、様々な格闘技や武道に存在するため、同じ技でも競技や流派によって名称が異なる場合があります。例えば、相手の肘関節を攻撃する関節技は、柔道では腕緘や腕挫○○固と呼ばれますが、プロレスや格闘技ではアームロックと呼ばれることが一般的です。また、柔道の技である腕挫十字固が、プロレスに導入される際に、腕拉ぎ逆十字固めと呼ばれるようになった例もあります。

日本の総合格闘技においては、プロレスとブラジリアン柔術の名称が主に用いられています。これは、日本の総合格闘技団体がプロレスと関係が深いこと、また、総合格闘技において寝技や関節技を学ぶ際にブラジリアン柔術が採用されることが多いことが理由と考えられます。

関節技は、高度な技術と知識を必要とする一方で、大きな効果を発揮する可能性を秘めた技です。しかし、その危険性を十分に理解し、安全に配慮して練習する必要があります。

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