湖広等処行中書省

湖広等処行中書省

湖広等処行中書省は、元朝の制定した行中書省の一つで「湖広行省」と略称されることもあります。この省は、主に長江の南側に広がる地域を管轄し、特に湖南省の大部分、広西チワン族自治区、海南省の全域、湖北省や貴州省の一部、さらには広東省レイ州半島を含んでいました。ただし、現在の湖北省や湖南省の西部は、四川行省が管理しています。

地理と範囲

1299年（大徳3年）の段階で、湖広行省は非常に広範囲にわたる地域を管轄していました。この省の範囲は、経済的・文化的に重要な地域を含んでおり、交通の要所でもありました。特に長江はこの地域の交通と経済活動の中心であり、多くの商業活動が行われていました。また、湖南省や広西チワン族自治区、そして海南省は、独自の文化や民族が存在し、その他の地域とは異なる特色を持つ地域でもありました。

歴史的背景

湖広行省の設置は、元朝の南宋に対する軍事侵攻の一環として行われました。元朝は1274年（至元11年）に、南宋攻略のための西路軍を指揮する拠点として「荊湖行省」を襄陽に設置し、これが後の湖広行省の起源となります。1277年（至元14年）頃、荊湖行省は鄂州に省会を移し、名称も「鄂州行省」に変更されました。この時期に、湖広行省が新たに設置され、現在の形に至りました。

下部行政区画

湖広行省は多くの行政区画に分けられていました。例えば、江南湖北道は8つの路と1つの府、1つの州を含み、主な路には武昌路や岳州路などがあります。また、嶺北湖南道は9つの路、3つの州を持ち、潭州路や衡州路がその一部です。さらに、嶺南広西道は、6つの路、1つの司、1つの府、及び8つの州に分かれています。

主な地域には、平楽府や鬱林州、慶遠南丹渓洞等処軍民安撫司などがあります。海北海南道は5つの路と3つの軍から成り立ち、特に雷州路や化州路が重要な交通路として機能しました。

参考文献

本省の歴史や行政区画に関しては、以下の文献が役立ちます。

• - 『元史』（中華書局）
• - 『中国歴史地図集』（中国地図出版社 1997年）
• - 周振鶴『中国行政区画通史 元代巻』（復旦大学出版社 2009年）

湖広行省は元朝時代の重要な行政単位として、当時の中国の地理的および文化的多様性を反映した地域であり、その歴史は今もなお多くの研究の対象となっています。

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