湘南急行

小田急電鉄の短命列車種別「湘南急行」：その運行と歴史

2002年3月23日から2004年12月10日まで、小田急電鉄は「湘南急行」を運行していました。JR東日本湘南新宿ラインに対抗する形で登場したこの列車種別は、わずか2年半という短い期間でその歴史に幕を閉じました。本記事では、湘南急行の運行形態、停車駅、方向幕、そしてその廃止に至る経緯を詳細に解説します。

湘南新宿ラインに対抗する戦略

湘南急行は、JR東日本の湘南新宿ラインへの対抗策として、2002年3月23日に多摩急行とともに運行を開始しました。小田原線と江ノ島線を直通運転することで、新宿駅から湘南エリアへのアクセス向上を目指したのです。しかし、2004年12月11日のダイヤ改正で、停車駅を絞った「快速急行」が登場。湘南急行は廃止され、その役割は快速急行に引き継がれることとなりました。

特徴的な運行形態と停車駅

湘南急行は、新宿駅から江ノ島線の藤沢駅までを結ぶ列車でした。日中は1時間に2本、10両編成で運行され、新宿と藤沢間を最短57分で結びました。新宿から相模大野までは、小田原線の急行と合わせて約10分間隔で運行され、スムーズな運行を実現していました。

停車駅は新宿、代々木上原、下北沢、成城学園前、登戸、向ヶ丘遊園、新百合ヶ丘、町田、相模大野、中央林間、大和、湘南台、藤沢でした。土休日には一部列車が藤沢駅から片瀬江ノ島駅まで延長運転されていました。急行停車駅のうち、長後駅と南林間駅は通過していました。現在の急行停車駅である経堂駅も、当時は通過駅でした。注目すべきは、相模大野駅以南の江ノ島線内の停車駅は、後継の快速急行に引き継がれている点です。

個性的な方向幕表示

方向幕は「湘南」がオレンジ色、「急行」が赤色と、2色の組み合わせで表示されていました。これは多摩急行と同様の珍しい表示方法でした。停車駅案内図ではオレンジ色単色で表示され、この色使いは快速急行にも受け継がれています。

廃止とその後

湘南急行の廃止後、2016年3月までは代々木上原～新百合ヶ丘間を多摩急行がカバーし、ほぼ10分間隔の運転を維持していました。2016年3月のダイヤ改正後も、この区間では急行の平均10分間隔が維持されており、湘南急行が担っていた役割は、別の形で受け継がれていると言えるでしょう。

まとめ：短命ながら重要な役割を果たした列車種別

湘南急行は、わずか2年半という短い期間しか運行されませんでしたが、JR東日本の湘南新宿ラインに対抗する重要な役割を担っていました。その運行形態や停車駅、そして特徴的な方向幕表示は、小田急電鉄の歴史において、重要な一ページを刻んでいます。また、後継の快速急行や多摩急行との関係性を知ることで、小田急電鉄の路線戦略の一端を垣間見ることができます。

もう一度検索