多摩急行

多摩急行：小田急電鉄の過去を彩った列車

2002年から2018年まで、小田急電鉄小田原線・多摩線で運行されていた「多摩急行」は、多くの乗客に利用され親しまれていました。本稿では、多摩急行の運行概要から廃止に至る経緯、そして千代田線直通列車との関わりまで、詳細に解説します。

多摩急行の概要

多摩急行は、多摩ニュータウンと都心部を結ぶ重要な役割を担っていました。京王相模原線・都営地下鉄新宿線との競合の中、小田急電鉄は所要時間短縮と利便性向上を目指し、多摩急行を運行開始しました。運行区間は多摩線唐木田駅から小田原線を経て、東京メトロ千代田線綾瀬駅まで。さらに、JR常磐緩行線への乗り入れにより、松戸駅、柏駅、我孫子駅、取手駅まで運行範囲が広がっていました。

運行開始当初は、他の優等列車との間隔が不均等であったため、小田原線内での利用者は少なかったです。しかし、2004年12月ダイヤ改正で快速急行が新設されたことにより、急行の減便で影響を受けた成城学園前駅や登戸駅の利用者増加に貢献、小田原線内での存在感を増しました。

運行形態とダイヤ改正

多摩急行の運行形態は、ダイヤ改正によって幾度も変化しました。2016年3月26日のダイヤ改正では、日中の多摩急行が向ヶ丘遊園駅停車の急行に変更され、それ以外の時間帯のみ多摩急行の運転となりました。これは、向ヶ丘遊園駅利用者からの停車要望の高まりと、日中の優等列車間隔の改善を目的としていました。

さらに、同改正ではJR東日本E233系2000番台の乗り入れ開始により、小田急、東京メトロ、JR東日本の3社車両による相互直通運転が実現しました。しかし、2014年3月15日のダイヤ改正で、日中の千代田線内は5分間隔となり、日中の多摩急行は全て常磐線内発着となりました。

使用車両

多摩急行には、地下鉄乗り入れに対応した車両が使用されていました。小田急電鉄からは4000形、東京メトロからは16000系、JR東日本からはE233系2000番台が使用されていました。過去の車両としては、小田急1000形、東京メトロ06系、6000系などが挙げられます。なお、JR東日本の209系1000番台は、小田急線への乗り入れに対応していなかったため、多摩急行には使用されませんでした。

千代田線直通列車との関係

多摩急行は、1978年の千代田線全線開業、そして千代田線と小田急線の相互直通運転開始という歴史的背景と深く関わっています。当初は本厚木駅発着の準急として運行され、経堂駅はホームの長さの関係で通過扱いでした。その後、ダイヤ改正を経て、運行本数や停車駅、直通先の拡大が行われ、2002年3月23日のダイヤ改正で多摩急行が新設されました。

2016年3月26日のダイヤ改正では、3社直通運転開始に伴い、日中の千代田線直通列車は急行に変更され、多摩急行はそれ以外の時間帯の運行となりました。JR線内では、他の列車と同様に「各駅停車」と表示され、小田急線内では「多摩急行」と表示されていました。

廃止

2018年3月17日のダイヤ改正で、多摩急行は廃止されました。小田原線の複々線化完成に伴い、ダイヤ編成が見直された結果です。多摩急行の廃止により、日中の千代田線直通列車は新宿方面直通に変更され、多摩線の優等列車は千代田線直通から新宿方面直通へと転換しました。

まとめ

多摩急行は、多摩ニュータウンと都心部を結ぶ重要な役割を担い、小田急電鉄の路線戦略において重要な位置を占めていました。しかし、時代の変化や運行状況の変化に伴い、廃止という決断に至りました。多摩急行の歴史は、小田急電鉄の進化と変化を物語る貴重なものです。

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