湯包

湯包：スープがじゅわっと広がる、絶品中華点心

湯包（タンバオ）は、中華料理の中でも特に人気が高い小吃（軽食）の一種です。その名の通り、皮の中に肉餡とスープを閉じ込めた、一口サイズの肉まんと言えるでしょう。灌湯包（ガンタンパオ）の略称としても知られています。

特に南京市では、湯包は名物料理として広く親しまれ、多くの飲食店で提供されています。その歴史は古く、開封が起源とされています。開封の灌湯包子や、上海の南翔小籠包など、各地で独自の進化を遂げてきた、歴史ある料理なのです。

スープを味わう、特別な作法

南京で湯包をいただく際には、独特の食べ方があります。それはまるで、歌のように、手順を踏まえて楽しむのです。

1. 軽軽移（qīng qīng yí）：そっと、蒸籠から湯包をレンゲに移します。
2. 慢慢提（màn màn tí）：ゆっくりとレンゲを持ち上げます。
3. 先開窓（xiān kāi chuāng）：皮を少しだけ開けて、中のスープを覗きます。
4. 後喝湯（hòu hē tāng）：そして、熱々のスープをゆっくりと味わいます。

スープはやや脂っこいため、さっぱりといただくために、ショウガの入った酢醤油ダレを添えて食べることも多いです。一方、上海では、大きめの湯包にストローが刺さっていることも珍しくありません。

小籠包との違いは？

湯包とよく似た料理に、小籠包があります。南京では、「皮の閉じ口が上にあるのが小籠包、下にあるのが湯包」という説明を耳にすることもありますが、実際には、閉じ口を上に閉じている湯包も存在するため、明確な違いはありません。

語源から見ると、「小籠包」は小さな蒸し籠で蒸すことを意味し、「湯包」は皮の中にスープが入っていることを指しています。つまり、調理方法と中身の構成という、異なる観点から名付けられた料理と言えるでしょう。

大迫力の「大籠包」

近年では、驚くほど大きな湯包も登場しています。神奈川県にある横浜大世界（チャイナテーマパーク）では、2009年頃からストロー付きの湯包を販売。そして2019年からは、通常の小籠包の約3倍、直径約10cmもある巨大な湯包「大籠包」が名物メニューとして提供されています。

まとめ

一口サイズのスープ入り肉まん、湯包。その歴史、食べ方、そして小籠包との違いなど、様々な側面から見てきました。南京の名物料理として愛され、各地で独自の進化を遂げている湯包。機会があれば、ぜひその美味しさを味わってみてください。その独特の風味と、スープが口の中に広がる瞬間は、忘れられない体験となるでしょう。

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