湯州

湯州（とうしゅう）は、かつて唐がベトナム北部に設置した州であり、現在のランソン省ランソン一帯に相当します。

歴史

唐は、秦の時代の象郡の地に湯州を設置しました。この地域は唐朝の支配下に入り、行政区画として湯州が設けられたのです。742年（天宝元年）には、湯州は一時的に温泉郡（おんせんぐん）と改称されました。これは、その地域に温泉が湧き出ていたことなどが理由として考えられます。

しかし、758年（乾元元年）になると、温泉郡は再び湯州という名称に戻されました。この名称変更の理由は明確にはわかっていませんが、行政上の都合や地域住民の要望などが影響した可能性があります。

湯州は嶺南道（れいなんどう）の容管十州（ようかんじっしゅう）に属し、湯泉（とうせん）・緑水（りょくすい）・羅韶（らしょう）の3県を管轄していました。これらの県は、湯州の統治下でそれぞれの地域を管理し、住民の生活を支えていたと考えられます。

しかし、806年（元和元年）になると、湯州は廃止されることになりました。この廃止の理由は、唐朝の行政改革、地域の政治情勢の変化、あるいは経済的な要因など、さまざまな要素が考えられます。

湯州が存在した期間は比較的短いものでしたが、唐朝がベトナム北部に影響力を持っていた時代を示す重要な事例と言えるでしょう。湯州の歴史を研究することで、当時の唐朝とベトナム北部の関係や、地域の文化、社会構造などについてより深く理解することができます。

まとめ

湯州は、唐朝がベトナム北部に設置した州であり、その存在は短期間でしたが、唐朝の勢力範囲を示す上で重要な意味を持っています。温泉郡への改称や、その後の湯州への復帰、そして最終的な廃止といった経緯は、当時の政治状況や社会情勢を反映していると考えられます。湯州の歴史を紐解くことは、東アジアの歴史における唐朝の役割や、地域社会の変遷を理解する上で不可欠な要素となるでしょう。

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