湯沢幸吉郎

湯沢 幸吉郎

湯沢幸吉郎（ゆざわこうきちろう）は、1887年5月2日に秋田県広山田村に生まれ、1963年4月9日に逝去した日本の著名な国語学者です。彼の生い立ちや業績は、日本の国語学の発展に大きく寄与しました。

略歴

湯沢は、農家の三男として誕生し、広山田村立楢山尋常小学校を卒業しました。その後、秋田県立秋田中学校に進学し、1905年には東京高等師範学校の国語国文学科に入学しました。卒業後は、富山県立薬学専門学校や東京府立第四高等女学校で教員としてのキャリアをスタートさせましたが、その後東京帝国大学の国文学選科に進み、1915年には文部省の嘱託職に就きました。

1933年、湯沢は東洋大学の教授に就任し、その後文部省で図書監修官を務めるなど、多くの教育機関で教授として活躍しました。1949年からは早稲田大学、1959年からは上智大学で教えていました。

業績

湯沢は、近世言語に関する詳細な研究を行い、特に室町時代から江戸時代にかけての日本語の発展を追究しました。1929年には『室町時代言語の研究』を発表し、初の室町言語の文法書として評価されました。この研究は、先にあった山田孝雄の著作に続くもので、湯沢は青年時代から国語史の整理を志していました。

また、近世日本語を扱った『徳川時代言語の研究：上方篇』と『江戸言葉の研究』は、彼の代表作として知られています。これらの著作では、豊富な実例とともに日本語の変遷について広範に記述されています。特に「ら抜き言葉」の初出例や、古典的な仮名表記は、彼の研究成果の一部として注目されています。

1956年には「近代国語の研究」に対して学士院賞を受賞し、彼の学問的業績が高く評価されました。彼の研究は、現代の国語学においても重要な基盤とされており、後進の研究者たちにも多くの影響を与えています。

主な著作

湯沢は多くの著作を残しており、主な著書には次が含まれます。

• - 『室町時代言語の研究 抄物の語法』 （1929年）
• - 『解説日本文法』 （1931年）
• - 『口語法精説』 （1934年）
• - 『徳川時代言語の研究 上方篇』 （1936年）
• - 『江戸言葉の研究』 （1954年）

彼の著作は国語学の基礎を築く重要な資料となっており、多くの研究者にとって参考とされています。また、湯沢は共著や校訂作業も行い、他の著作でもその影響力を発揮しました。

結論

湯沢幸吉郎は、日本の国語学の発展に不可欠な役割を果たした学者であり、その研究は今なお国語学の重要な礎石です。彼の業績は、後世の研究者たちに引き継がれ、日本語の深い理解につながっています。

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