湯沢雍彦

湯沢雍彦（ゆざわ やすひこ）

生涯

湯沢雍彦は、1930年8月25日に東京都で生まれ、2023年9月8日に93歳で逝去した日本の社会学者です。お茶の水女子大学の名誉教授であり、家族社会学を専門としていました。湯沢は、新宿で炭問屋を営む家庭に生まれ、幼少期は映画館の近くで過ごしたことから、映画好きとしても知られています。

学歴と職歴

東京都立大学で社会学と法学を専攻し、卒業後は東京家庭裁判所の調査官を経て、お茶の水女子大学の教授に就任しました。1994年に同大学を定年退官し、名誉教授となりました。その後も、郡山女子大学や東洋英和女学院大学で教鞭を執り、東京大学や慶應義塾大学などの非常勤講師も務めました。また、養子と里親を考える会や地域社会研究所の理事も務め、社会貢献活動にも積極的に関わりました。

研究活動

湯沢の研究は、家族社会学の分野において多岐にわたりました。特に、日本の家族の歴史的な変遷や、現代の家族が抱える問題に焦点を当て、多くの著書や論文を発表しました。NHKテレビの『市民大学・家族と社会』では講師を25回務め、その研究成果を広く一般に伝えました。また、写真家としても活動し、写真集を出版したり、写真展を開催するなど、多才な面も持っていました。

人物像

湯沢は、野球好きで阪神タイガースのファンでした。阪神が勝利すると、家族に寿司やケーキを振る舞うなど、温厚でユーモアのある一面も持ち合わせていました。趣味は旅行や登山で、各地で撮影した写真を写真集や写真展で発表しました。

主な著書

家庭事件の法社会学（岩波書店, 1968）
家族関係学（光生館, 1969）
図説家族問題（日本放送出版協会, 1973）
新しい家族学（光生館, 1987）
図説現代日本の家族問題（日本放送出版協会, 1987）
離婚と家族機能（安田生命社会事業団, 1988）
結婚と夫婦をめぐる諸問題（安田生命社会事業団, 1989）
親子関係の日本的特性（安田生命社会事業団, 1990）
老人と子ども家族との関係（安田生命社会事業団, 1991）
家族問題の法律学（安田生命社会事業団, 1993）
小さな家族論（クレス出版, 1994）
図説家族問題の現在（日本放送出版協会, 1995）
データで読む家族問題（日本放送出版協会, 2003）
明治の結婚明治の離婚 家庭内ジェンダーの原点（角川選書, 2005）
街角の家族たち 湯沢雍彦写真集（朝日新聞書籍編集部, 2007）
大正期の家族問題（ミネルヴァ書房, 2010）
昭和前期の家族問題（ミネルヴァ書房, 2011）
昭和後期の家族問題（ミネルヴァ書房, 2012）

共編著

老人扶養の研究（垣内出版, 1970）
家庭経営実験調査法（産業図書, 1971）
不老学のすすめ（有斐閣選書, 1973）
老年期 豊かな人生の発見（有斐閣選書, 1977）
老年学入門（有斐閣双書, 1978）
世界の老人の生き方（有斐閣新書, 1980）
家族問題の社会学（サイエンス社, 1981）
家族と社会（NHKサービスセンター, 1982）
現代の性差と性役割（培風館, 1982）
いま「家族」に悩むあなたへ（コンパニオン出版, 1985）
老人と家族の暮らしの相談室（同文書院, 1988）
お年寄りといっしょに暮らす生活ガイド（同文書院, 1990）
祖母・母たちの娘時代（クレス出版, 1999）
少子化をのりこえたデンマーク（朝日選書, 2001）
里親制度の国際比較（ミネルヴァ書房, 2004）
里親入門（ミネルヴァ書房, 2005）
百年前の家庭生活（クレス出版, 2006）
要保護児童養子斡旋の国際比較（日本加除出版, 2007）
大正期の家庭生活（クレス出版, 2008）
データで読む家族問題（日本放送出版協会, 2008）

翻訳

* ソ連の社会福祉（光生館, 1974）

湯沢雍彦は、その研究と教育活動を通じて、日本の家族社会学の発展に大きく貢献しました。彼の業績は、現代の家族問題を考える上で、重要な示唆を与え続けています。

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