湯浅芳子賞

湯浅芳子賞について

湯浅芳子賞（ゆあさよしこしょう）は、過去に存在した文学賞で、主に翻訳劇を対象にしていました。この賞は、日本では類を見ない特異な存在でした。これは、ロシア文学を専門とし、特にチェーホフの四大戯曲の名訳を数多く手掛けた湯浅芳子の功績を記念するために創設されたものです。

賞の目的と意義

湯浅芳子賞は、外国の戯曲を日本に紹介する役割を果たし、翻訳と上演において顕著な成果をあげた個人や団体に贈られました。この賞が特にユニークだったのは、公共性を持つ信託基金がその運営を支えていた点です。公益信託湯浅芳子記念翻訳劇助成基金が主催となっており、受賞者には毎年約300万円程度の助成金が支給されていました。

賞金とその変更

湯浅芳子賞の賞金は、2004年第11回までは各受賞者に100万円が授与されていましたが、2005年第12回以降は各50万円に減額されました。この変化は、さまざまな要因に基づいており、特に基金の残高が減少したことが影響しています。その結果、賞は2008年第15回をもって幕を閉じることになりました。

小田島雄志・翻訳戯曲賞の設立

湯浅芳子賞が終了した後、演劇評論家の小田島雄志は、湯浅の業績を引き続き称えるために「小田島雄志・翻訳戯曲賞」を設立しました。小田島は湯浅芳子と同様にチェーホフ作品に傾倒し、彼自身も創作活動を行っていました。さらに、彼の息子、恒志は第3回の湯浅芳子賞を受賞したという縁もあり、彼の賞は自然の流れとして受け継がれました。

選考方法と応募対象

小田島雄志・翻訳戯曲賞の選考は、主に小田島自身が担当し、賞金は各受賞者に10万円が授与されます。第11回以降は実行委員会が賞の名称と趣旨を引き継ぎ、翻訳者個人に限らず、優れた演劇の成果をあげた団体も受賞対象となりました。この方針変更によって、より多くの翻訳劇が評価され、演劇界全体が活性化することを目的としました。

結論

湯浅芳子賞は、その創設意図とともに、日本の演劇界における翻訳劇の重要性を広めるための重要な役割を果たしていました。賞は終了しましたが、その精神は小田島雄志・翻訳戯曲賞として引き継がれ、今後も翻訳劇の発展を促す存在であり続けるでしょう。

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