満洲国赤十字社

満洲国赤十字社は、満洲国における赤十字社として、1938年（康徳5年）に設立されました。中国などでは一般的に「赤十字社」を「紅十字会」と表現しますが、満洲国においては「満洲国紅十字会」ではなく、「満洲国赤十字社」という名称が用いられました。

設立の背景

満洲国建国当初、人道的な救護活動は、主に恩賜普済会が担当していました。また、満洲国の行政権が及ばない満鉄附属地では、日本赤十字社満洲委員本部が活動していました。しかし、1937年（康徳4年）に満鉄附属地が撤廃されたことにより、日本赤十字社が満洲国で活動を続けることが難しくなりました。このような状況下で、満洲国における赤十字活動を統一するため、恩賜普済会と日本赤十字社満洲委員本部が統合されることになりました。

満洲国赤十字社の設立

1938年（康徳5年）10月1日、恩賜普済会と日本赤十字社満洲委員本部の統合により、満洲国赤十字社が正式に設立されました。これにより、満洲国内における人道支援活動は、満洲国赤十字社によって一元的に行われることとなりました。

活動内容

満洲国赤十字社は、赤十字の理念に基づき、傷病者の救護、災害救援、予防衛生など、多岐にわたる人道支援活動を展開しました。具体的な活動内容としては、病院や診療所の運営、救急医療活動、看護師の育成、地域社会における健康教育などが挙げられます。

消滅

満洲国赤十字社は、満洲国の歴史と深く結びついていました。1945年（康徳12年）の満洲国の滅亡とともに、満洲国赤十字社もその活動を終え、解散しました。その短い歴史の中で、満洲国の人々への人道支援活動を通じて、赤十字の精神を体現しました。

関連項目

赤十字社
日本赤十字社
中国紅十字会
中華民国紅十字会

参考文献

* 『日本赤十字社社史稿』第5巻、日本赤十字社、1969年、91-93頁。

もう一度検索