中華民国紅十字会

中華民国紅十字会について

中華民国紅十字会（The Red Cross Society of Republic of China (Taiwan)）は、台湾において赤十字活動を行う唯一の組織として活動している認可法人です。 日本赤十字社のウェブサイトなどでは「台湾赤十字組織」と表現されています。

概要

中華民国紅十字会は、台湾において唯一、国家によって法的に保護されている民間組織です。その活動は「中華民国紅十字会法」によって規定されており、国防部と衛生署が理事を務め、財務は政府の審査を受ける必要があります。

歴史的には、両岸対立の時代において、中国紅十字会との重要な交流窓口としての役割を担ってきました。両岸間の通信が困難だった時代には、通信業務を担当し、1990年の「金門協議」では、台湾に密入国した中国人の送還業務を支援しました。また、大規模災害時には、両岸交流のシンボルとして義援金を寄付するなど、民間外交における重要な役割を果たしています。

歴史

中華民国紅十字会の前身は、1904年5月29日に上海で設立された「上海万国紅十字会」です。日露戦争によって荒廃した満洲の民衆を救済する目的で、上海の有力者によって創設されました。その後、1907年に「大清紅十字会」、1911年の辛亥革命後は「中国紅十字会」と名称を変更しました。

1912年、中国紅十字会は赤十字国際委員会の認可を受け、1919年には国際赤十字赤新月社連盟に加盟しました。1933年、日本との軍事衝突の発生に伴い、赤十字活動を軍事活動と連携させる必要性から「中華民国紅十字会管理条例施行細則」を発布し、「中華民国紅十字会」と改称しました。

国共内戦の結果、1949年に組織は台湾に移転しました。なお、台湾における日本赤十字社台湾支部の資産は、国民党政府に接収されています。

1952年、赤十字国際会議は、中国紅十字会を中国における唯一の赤十字組織と認定し（「一つの中国」に基づく一国家一組織原則）、中華民国紅十字会は国際赤十字から追放されました。しかし、現在でも民間組織として国内外の人道支援活動を続け、中国紅十字会を含む各国の赤十字組織と交流を続けています。

2016年7月27日、総統府は、中華民国紅十字会が「特権的」であるとして、「中華民国紅十字会法」の廃止を発表しました。これにより、中華民国紅十字会は他の民間団体と同様の扱いを受けることになりました。この法案は、過去の中国国民党政権の清算を進める与党民主進歩党によって発議され、賛成多数で可決されました。

国際赤十字との関係

中華民国紅十字会は、国際赤十字の承認を受けていません。これは、国際赤十字が「一つの国に一つの赤十字組織」という原則を採用しているためです。国際赤十字は、中国の赤十字組織として中国紅十字会を承認しています。

しかしながら、中華民国紅十字会は、国際的な人道支援活動に積極的に参加しており、各国の赤十字組織とも協力関係を築いています。

組織の現状

現在、中華民国紅十字会は、台湾において人道支援活動を行う重要な組織として、引き続き活動を行っています。災害時の救援活動や、医療支援、社会福祉活動など、多岐にわたる分野で貢献しています。

関連項目

赤十字社
国際赤十字赤新月社連盟
国際赤十字
赤十字国際委員会

外部リンク

* 中華民國紅十字會總會（公式サイト）（中国語）

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