満蒙開拓青少年義勇軍

満蒙開拓青少年義勇軍

満蒙開拓青少年義勇軍とは、日本国内の数え年16歳から19歳の若者を満洲に移住させる制度であり、いわゆる満蒙開拓民送出事業の後半における主要な形態である。この制度は、1932年に満洲国が建国されてから1945年の敗戦までの間に展開された。満洲への日本人農業移民は、軍部、特に関東軍が主導し、政策が段階を経て進められていった。

背景

1932年以降、関東軍は満洲における日本人移民事業を推進していく中で、数回にわたって大量移民計画の提案を行ったが、当初は日本政府、特に大蔵省からの反発を受け続けていた。しかし、1936年の二・二六事件を契機に、軍部の影響力が強まり、満洲移民の計画が一気に具現化することとなった。その結果、1936年には「満洲農業移民百万戸移住計画」が策定され、これが後に「二十カ年百万戸送出計画」として承認された。しかし、1937年の日中戦争勃発により、成人移民の動員が困難になったことから、若年層の移民が期待されることとなった。

義勇軍の設立

1937年11月3日、満蒙開拓青少年義勇軍編成に関する提案が当時の首相近衛文麿に提出された。これは、成人移民が難しくなってきた状況を打破するためのものであり、拓務省はすぐにこの提案を受け入れて、同年11月30日に青少年移民送出に関する案件を閣議で決定した。12月には「満洲青年移民実施要項」が策定され、いよいよ青少年義勇軍の募集が開始された。

募集要項と入隊

1938年1月から始まった募集では、小学校を卒業した身体強健な男子、数え年16歳から19歳の者が対象となった。名目上は自由応募であったが、実際には各都道府県に割り当てがあり、学校の教員が生徒に積極的な応募を促す形で進行した。義勇軍という名称が用いられた背景には、当時の軍国主義的な気運を利用し、国家のために尽力する意識を敏感に訴える狙いがあった。

教育と訓練

選ばれた青少年は、3か月間の基礎訓練を内原の訓練所で受けた後、さらに満洲の現地で3年間の訓練を経て入植した。この過程は、青少年たちが満洲国の発展に寄与し、さらには日本と満洲の一体化を進める重要な役割を担うとされていた。また、1939年には壮行会が盛大に開催され、社会的な関心も集まった。

実態と影響

満蒙開拓青少年義勇軍は、1938年から1945年までの間に8万6,000人を満洲に送り出し、これは全体の約30%にあたる。しかし、その実際の生活は一様ではなく、指導者の力量や入植地の環境によって大きく異なっていた。団の中には成功を収めた例もあったが、困難な条件の中で生活を強いられ精神的な疲弊から問題を抱える団も存在した。暴力事件や周辺村とのトラブルが発生することもあった。

満蒙開拓青少年義勇軍は、戦時中の重要な移民政策の一環として位置づけられているが、その影響は単なる移住にとどまらず、戦後のさまざまな社会問題にも波及している。

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