源行遠

源行遠（みなもとの ゆきとお）

源行遠は、平安時代後期に活躍した武士の一人であり、源頼信の四男である頼任の曾孫にあたります。行遠は、源師行という名前の父親を持ち、左衛門尉、検非違使、そして従五位下という地位にありました。彼は白河天皇の北面武士として名を馳せ、多くの事件に関わってきました。

北面武士としての役割

行遠は白河天皇に仕える北面武士として知られています。北面武士は、天皇を警護する役割を担っており、その中でも特に行遠は重要な役割を果たしました。彼の活動は、平安時代の武士階級がどのように天皇の側近としての位置を確立していたかを示す良い例でもあります。

事件とその影響

1114年5月、行遠の郎党が何者かに殺害されるという重大な事件が発生しました。この事件は源為義と関連しており、為義が犯人を匿ったとされるため、行遠の生活にも大きな影響を与えることになりました。

その数年後の元永元年（1118年）の1月には、行遠は検非違使宣旨を受け、従五位下に昇進しました。この昇進は、彼が父である源師行と同様の地位に上り詰めたことを示しており、家族の名声を高める要因となりました。

逸話と人柄

行遠の人物像は、「宇治拾遺物語」巻十一に登場する逸話からもうかがえます。この逸話では、彼が白河法皇の命令で行われた催し物に参加するため、従者にその様子を見てくるよう命じたことが語られています。行遠は自らの装いが目立つのを避けるため、行列に参加する機会を伺っていましたが、従者が長い間戻らなかったため、催しはすでに終わってしまっていたことに気付きます。従者は指示通りに見てきただけだと弁明するも、行遠は不参加のため謹慎処分を受けます。しかし、最終的には事情を理解した法皇に笑って許されました。

家族関係

源行遠の家系について見ると、父は源師行、母や妻の名前は不詳です。彼には源行康という息子がおり、藤原季範と結婚した娘や、源重子と呼ばれる子供もいました。家族のつながりや血筋も、彼の地位や武士としての生活に影響を与えていたことでしょう。

源行遠は、時代の流れの中で重要な役割を果たしながらも、個性豊かな人物としての側面を併せ持った存在だったと言えます。彼の逸話は、その時代の武士たちの実情や日常生活が垣間見える貴重な資料となっています。

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