溝口三郎 (農業土木学者)

溝口 三郎（みぞぐち さぶろう）

1893年11月26日生まれで、1962年9月10日に逝去した溝口三郎は、日本の農業土木学および農業の発展に寄与した著名な学者であり、技術者、さらには政治家である。彼は特に農林省での業務を通じて、戦後の日本における農業政策の構築に重要な役割を果たした。

経歴

長野県上田市にて生まれた溝口は、東京帝国大学農学部を1920年に卒業した後、新潟県で産業技師としてのキャリアをスタート。同年、青森県耕地課での職務を経て、1928年には農林省農務局にて業務を担当することとなった。特に1938年には青森県の三本木原開墾国営事務所長および秋田県田沢疎水開墾国営事務所長という重要な役職に就いている。

1941年に農林省耕地課長となった彼は、農地開発法の策定とともに、戦時中の食糧増産政策の推進を主導し、困難な状況下での農業の維持に貢献した。戦後の1945年からは農林省開拓局の部長として、復員者の生活支援と食糧不足解消のための開拓プロジェクトを推進し、その後1947年には土地改良事業の中心的な役割を果たした。

1950年には第2回参議院議員通常選挙において全国区から出馬し、成功を収めて緑風会に所属する参議院議員として1期を務めた。ここでも彼は第3次吉田内閣において労働政務次官の職に就き、政策形成に関わることとなる。

主な業績

溝口三郎はその業務を通じて多くの分野で貢献をなした。農業土木研究所の理事長、全国農業土木技術連盟の顧問、日本農業土木コンサルタンツの顧問としても活動し、農業の発展に寄与した。河川水温調査会の副会長や土地改良新聞社の社長としても知られる。

1962年に彼は68歳でその生涯を終えたが、その際に勲三等旭日中綬章が追贈され、従四位から正四位に、さらには従三位へと昇叙された。

エピソード

溝口はまた、1953年に菅平硫黄採掘反対運動公聴会で意見陳述を行い、地域の自然環境を守るために積極的に活動したことで知られている。地元への支援として、5000円を寄付した事例も記録されている。

研究と著作

1949年に農学博士の学位を取得した際の論文は『灌漑水温に関する農業土木学的研究』であり、広範な調査を行ってその成果を残すことができた。彼の著作には、『国土計画の話』や『開拓論』、さらには『土地改良』および『潅漑排水』などがあり、これらは農業土木における基本的な考え方を示している。

参考文献

彼の業績と生涯に関する情報源として、近代日本土木人物事典や長野県歴史人物大事典などがある。これらの文献は、溝口三郎の影響力とその足跡を知るための重要な資料である。

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