溺水

溺水についての詳細解説

溺水（できすい）とは、水やその他の液体によって気道が塞がれ、窒息状態に陥ることを指します。これにより意識を失ったり、最悪の場合には命を落とすこともあります。溺水による死亡は「溺死」と呼ばれています。

種類

溺水には主に二つのタイプが存在し、それぞれ湿性溺水と乾性溺水に分類されます。

湿性溺水（Wet Drowning）

湿性溺水は、水などの液体を吸い込むことによって発生します。液体が肺に入り込むことで呼吸が困難になり、窒息状態になります。特に多く見られるのがこの湿性溺水です。

乾性溺水（Dry Drowning）

乾性溺水は、液体が気道に入る際に反射的に気道が痙攣を起こし、呼吸困難を引き起こす状態です。このタイプの溺水は、全体の10〜15%を占めているとされています。乾性溺水は、泳ぎを得意とする人でも発生しうるため注意が必要です。

海水溺水と淡水溺水

湿性溺水は、吸引した水の性質によってさらに海水溺水と淡水溺水に分けられます。

海水溺水

海水溺水では、浸透圧の違いにより血液中から肺の中に水が移動します。これにより肺胞に水分が蓄積され、循環血液量が減少することがあります。

淡水溺水

淡水溺水の場合は、逆に肺から血中へ水が移動するため、循環血液量が増え、溶血や高カリウム血症を引き起こすことがあります。

近年では、溺水による病態は循環血液量の変化や電解質異常だけでなく、低酸素血症が本質であると考えられるようになってきました。そのため、海水と淡水の違いは医療現場での考慮においてそれほど重要ではないとの見解もあります。

水泳と溺水の関係

ハーバード大学医学部の研究によると、泳げるからと言って絶対に溺れないわけではありません。特に子どもが水の中にいる場合、親は常に目を離さず、安全を確保するためにライフジャケットなどの救命具を装着させることが重要です。

治療と応急処置

溺水が発生した場合、まず早急に水から引き上げる必要があります。呼吸困難が生じている場合には人工呼吸が必要です。一度水を飲み込んだ場合も、必ず医療機関での診察を受けることが推奨されます。なぜなら、肺に水が入った際には一見意識が回復しても、24時間以内に再び肺に水分が蓄積され、二次溺水を引き起こす可能性があるからです。

脚注

溺水は一瞬の油断で起こり得る危険な事象であり、事前の知識と準備が重要です。特に子どもや水に不安のある人は、事前に安全対策を講じることが不可欠です。

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