滇

滇（てん） - 雲南に存在した古代国家

滇（てん、拼音: Diān）は、前漢時代の紀元前3世紀頃から、現在の雲南省東部、滇池周辺に存在した滇人による古代国家です。中国では「滇」の字は、特定の文脈において「鱒」の意味も持ちます。

名称の由来と広がり

「滇」の文字は、雲南省の別称として用いられるようになり、滇系軍閥や滇劇など、雲南省に関連する様々な事物を示す用法へと発展しました。現在の中華人民共和国においても、雲南省を「滇」と略称することが一般的です。

歴史

滇の建国については、楚の将軍・荘蹻（そうきょう）が遠征中に秦によって帰国できなくなり、やむなく現地で建国したという説が有力です。荘蹻は、雲南地方に楚文化を持ち込み、滇国の基礎を築いたと考えられています。

しかし、紀元前109年、前漢の武帝による攻撃を受け、滇は漢の属国となりました。これにより、滇は益州郡の統治下に組み込まれ、漢文化の影響を強く受けることになります。

滇王之印

晋寧県の石寨山遺跡（せきさいざんいせき）からは、「滇王之印」と刻まれた印鑑をはじめとする、当時の青銅器が多数発掘されています。この「滇王之印」は、日本の福岡県で出土した「漢委奴国王印」と形式的に類似していることが指摘されており、当時の国際関係や文化交流を考察する上で重要な資料となっています。

古滇国の歴代君主

黄懿陸の著書『滇国史』によれば、以下の君主が記録されていますが、文字史料の不足により、詳細な情報が不明な点が多いのが現状です。

荘蹻（紀元前278年 - 紀元前256年）
M33墓主（紀元前256年 - 紀元前224年）
M12墓主（紀元前224年 - 紀元前178年）
M3墓主（紀元前178年 - ?）
M13墓主
M71墓主（? - 紀元前123年）
* 嘗羌（M6墓主）（紀元前123年 - 紀元前85年）

滇国は、その短い歴史の中で、楚、漢といった大国の影響を受けながら、独自の文化を育みました。石寨山遺跡から出土した青銅器などは、当時の滇国の文化水準の高さを物語っています。滇国の歴史は、文字資料が少ないため、未だ多くの謎に包まれていますが、今後の研究によって、その全貌が解明されることが期待されています。

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