益州郡

益州郡（えきしゅうぐん）

益州郡は、中国にかつて存在した郡であり、おおよそ現在の雲南省に位置していました。その歴史は漢代に始まり、晋代に終わりを告げるまで、数々の変遷を経てきました。

概要

益州郡は、紀元前109年（前漢の元封2年）に設置されました。郡治は滇池（てんち）に置かれ、益州に属していました。前漢時代には、滇池、双柏、同労、同瀬、連然、兪元、牧靡、穀昌、秦臧、邪龍、味、昆沢、葉楡、律高、不韋、雲南、巂唐、弄棟、比蘇、賁古、毋棳、勝休、建伶、来唯の24県を管轄していました。しかし、王莽の時代には、就新郡（しゅうしんぐん）と改称されました。

後漢が建国されると、郡名は益州郡に戻されました。後漢時代の益州郡は、滇池、勝休、兪元、律高、賁古、毋棳、建伶、穀昌、牧靡、味、昆沢、同瀬、同労、双柏、連然、弄棟、秦臧の17県を管轄していました。

225年（三国時代の蜀漢の建興3年）には、諸葛亮によって益州郡は建寧郡（けんねいぐん）と改められました。さらに、建寧郡と永昌郡を分割して雲南郡（うんなんぐん）が、建寧郡と牂牁郡（ぞうかぐん）を分割して興古郡（こうこぐん）が立てられました。これにより、益州郡の名前は一時的に歴史から姿を消しました。

しかし、303年（晋の太安2年）になると、建寧郡の西部7県に再び益州郡が設置されました。これは、行政区画の再編によるものでした。しかし、その期間は長くは続かず、308年（永嘉2年）には晋寧郡（しんねいぐん）と改名され、益州郡という名称は完全に姿を消しました。

益州郡は、その短い存続期間の中で、漢王朝の支配下で地域を統治し、三国時代には蜀漢の南方の拠点として機能しました。その変遷は、中国の地方行政制度の複雑さと、王朝交代による影響を物語っています。

この地域は、多様な民族が居住する地域であり、益州郡の統治は、これらの民族との関係にも影響を与えました。また、交通の要衝としても重要な役割を果たし、東西の文化交流にも貢献しました。

益州郡の歴史を紐解くことは、古代中国の地方行政、民族関係、文化交流といった多角的な視点から、歴史を理解することにつながります。

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