滋賀県立農業短期大学

滋賀県立農業短期大学

滋賀県立農業短期大学は、かつて滋賀県栗太郡栗東町に存在した日本の公立短期大学です。その歴史は短く、1950年に設立され、わずか8年後の1958年に廃止されました。「滋賀農大」という略称でも親しまれていました。

滋賀県を設置者とするこの短期大学は、戦後間もない教育制度改革の中で誕生しました。国の定める新しい短期大学制度のもと、国内で最初に認可を受けた149校の一つとして、1950年に現在の栗東市にあたる治田村の地で開学したのです。

沿革

本学の前身となる教育機関は、1933年に創設された滋賀県立農業講習所に遡ります。この講習所は、戦後の1949年に滋賀県立高等農業講習所へと発展しました。

同年10月には、文部省へ短期大学設置の認可申請が行われます。この時点では、農学科として入学定員80名での開設が構想されていました。

申請は認められ、翌1950年3月14日に短期大学の設置が正式に認可されました。そして、1950年4月1日、滋賀県立農業短期大学が開学します。この時、学科は農科となり、入学定員は当初の計画より少ない40名でのスタートとなりました。

開学後の状況としては、1954年5月1日時点で農科には111名の学生が在籍しており、これは当時の定員120名に対して高い充足率を示していました。

しかし、本学の歴史は長くは続きませんでした。1955年度をもって学生募集を終了し、最後の学生が卒業を迎えるのを待って、1958年4月25日に正式に廃止されました。

教育および研究

滋賀県立農業短期大学に設置されていた学科は、農科のみでした。入学定員は40名。修業年限は昼間部の3年制課程で、卒業のためには概ね93単位以上の取得が必要とされていました。

教育内容においては、専門的な農業技術や知識だけでなく、将来教育に携わるための課程も設けられていました。具体的には、中学校教諭二級免許状（職業）や高等学校教諭臨時免許状（農業）を取得することが可能な教職課程が設置されていました。これにより、卒業生は農業分野だけでなく、教育分野でも活躍する道が開かれていました。

また、研究活動も行われており、その成果は『滋賀県立農業短期大学学術報告』をはじめ、『滋賀農大経教彙報』、『滋賀農大農経教室彙報』などの刊行物として発表されていました。特定の研究事例としては、『養鶏の集団化と共同化 : 滋賀県における実証的研究』といった報告書も発行されています。

施設・組織

本学のキャンパスは、滋賀県栗太郡栗東町渋川に置かれていました。

大学の運営に関わった人物としては、塩入松三郎氏が歴代学長の一人として名を連ねています。

本短大は、後の滋賀県立大学の源流の一つとなる滋賀県立短期大学と関連の深い教育機関でした。本学が廃止され、滋賀県立短期大学に統合された後、その農業部が旧農業短期大学のキャンパス施設を引き継いだ時期もあり、かつての学び舎の面影を残していました。

短い歴史が残したもの

滋賀県立農業短期大学は、わずか8年という短い期間ではありましたが、戦後日本の復興期において、滋賀県の農業振興と地域社会の発展に貢献する人材を育成しました。特に、専門的な農業知識に加え、教員免許の取得を可能とした教育課程は、農業教育の担い手を輩出する上でも重要な役割を果たしたと言えるでしょう。その歴史は現代に直接引き継がれてはいませんが、滋賀県における高等農業教育の歩みを知る上で、重要な一頁を占めています。

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