滑空標的機

滑空標的機（MXY3）

滑空標的機は、大日本帝国海軍によって試作された無人標的機で、通称MXY3と呼ばれています。1937年に対空射撃のための新たな標的機として開発が始まり、航空機の曳航に代わる手段として期待されました。設計を担当したのは、海軍航空技術廠の技師である山本晴之であり、製造は茅ヶ崎製作所により行われました。初号機は1938年の初めに初飛行を果たしました。

製造には河合楽器も関与し、最終的には約30機が生産されましたが、滑空標的機はその運用においていくつかの問題を抱えていました。具体的には、飛行に必要な手続きが複雑であること、また一度使用すると使い捨てとなるためコストがかかる点が挙げられます。そのため、制式採用には至らず、後に登場する一式標的機へと役割を譲ることとなりました。

機体の設計

その機体は単翼高翼設計の木製であり、九四式水上[[偵察機]]の上部に搭載された状態から空中へと発進します。初期モデルには安定性に欠け、直進が難しいという特徴がありましたが、魚雷用のジャイロ式操舵器を応用した新たな操縦装置を取り入れることで、これらの問題は解決されました。また、胴体の断面形状を改良し、黄色の塗装を施すことで視認性を向上させた改造型も存在します。

主要諸元

• - 全長: 5.0 m
• - 全幅: 8.0 m
• - 主翼面積: 8.0 m²
• - 全備重量: 310 kg
• - 滑空速度: 157 km/h
• - 乗員: 0名

このような設計がなされた滑空標的機は、後のターゲット・ドローンの基盤ともいえる存在であり、当時の海軍の航空技術の発展に寄与しました。滑空標的機に関する研究や試作は、戦後の無人機技術の進化においても重要な意味を持っています。

参考文献

野沢正著『日本航空機総集 愛知・空技廠篇』出版協同社、1959年。

この文献には、滑空標的機に関する詳細や、その開発の背景、具体的な性能についての情報が記載されています。後の技術発展における貴重な資料としても知られています。

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