滑膜

滑膜の役割と構造

滑膜（かつまく、英: synovial membrane）は、関節を形成する重要な組織の一部です。滑膜は関節包内に位置し、関節の動きや機能に大きな影響を与えています。この関節包は外側が線維膜、内側が滑膜から構成されており、滑膜の厚さは約25μmあります。

滑膜の構造は一見すると単純な膜のようですが、実際には細胞が隙間に詰まっているわけではありません。滑膜には、線維芽細胞様の滑膜細胞やマクロファージ、さらに少数のリンパ球が分布しています。これらの細胞は協力して、滑膜特有の機能を発揮します。

滑膜はその内表面にひだを形成しており、これが関節の動きをなめらかにし、摩擦を軽減する役割を果たしています。滑膜細胞は関節液を生成し、それを通じて軟骨へ栄養を供給します。特に、関節液にはヒアルロン酸やラブリシン（lubricin）という糖タンパク質が豊富に含まれており、これらは関節の滑らかな動きに寄与しています。

興味深いのは、軟骨自体には血管が存在しないことです。したがって、軟骨細胞への栄養供給は関節液に完全に依存しています。このため、滑膜には多くの血管が分布しており、滑膜が適切に機能するためには豊富な血液供給が不可欠です。

滑膜の機能不全や病変は、関節リウマチやその他の膠原病において重要な病理学的所見となります。これらの病態では、滑膜が炎症を起こし、関節の動きが制限されることがあります。また、滑膜の状態は整形外科学においても非常に重要であり、外科的な介入によって滑膜を取り除くことが必要になる場合もあります。

このように、滑膜は関節の構造や機能において中心的な役割を担っており、関節の健康を維持するためにはその機能を理解し、適切にケアすることが重要です。

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