滑車上神経

滑車上神経（supratrochlear nerve）は、第五脳神経である三叉神経の第一枝、眼神経から分かれる前頭神経の末梢枝の一つです。この神経は、眼窩上神経と比較すると小さく、上斜筋滑車の上方を通過し、鼻毛様体神経の滑車下枝と合流する枝を出すという特徴があります。

滑車上神経の走行

滑車上神経は、上斜筋滑車と眼窩上孔の間から眼窩を出て、皺眉筋と前頭筋の下方を通り、前額部へと向かいます。この走行により、前額部の皮膚や結膜、内眼角、上眼瞼、鼻背などの組織の知覚を支配しています。

知覚支配領域

前頭部～額下部正中線近くの皮膚: 前額部の感覚を脳に伝えます。
結膜: 眼球表面を覆う膜の感覚を伝えます。
内眼角: 鼻に近い側の眼の隅の感覚を伝えます。
上眼瞼・鼻背の皮膚: 上まぶたと鼻の付け根部分の皮膚の感覚を伝えます。

関連事項

滑車上神経の近傍には、滑車下神経や前頭神経といった他の重要な神経も存在します。これらの神経もまた、眼神経から分岐し、眼窩周囲の感覚を司る役割を担っています。これらの神経の位置関係を把握することは、関連する疾患の理解に不可欠です。

臨床における重要性

滑車上神経は、前額部の感覚を司るため、この神経が損傷を受けると、前額部の感覚麻痺や知覚異常が生じることがあります。また、顔面神経痛などの疾患においても、滑車上神経の走行に沿って痛みが現れることがあります。したがって、滑車上神経の正確な知識は、これらの疾患の診断と治療において非常に重要です。

参考資料

本記事は、パブリックドメインであるグレイ解剖学第20版（1918年）888ページの内容を参考にしています。また、以下の外部リンクも参考になります。

Anatomy figure: 29:02-01 at Human Anatomy Online, SUNY Downstate Medical Center
MedEd at Loyola GrossAnatomy/h_n/cn/cn1/cnb1.htm
lesson3 at The Anatomy Lesson by Wesley Norman (Georgetown University) (orbit2)
cranialnerves at The Anatomy Lesson by Wesley Norman (Georgetown University) (V)
* http://www.dartmouth.edu/~humananatomy/figures/chapter_47/47-2.HTM

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