滝誠一郎

滝誠一郎 九段

1948年生まれの滝誠一郎氏は、長年にわたり第一線で活躍した将棋棋士である。大阪府大阪市出身で、南口繁一門下。棋士番号は101番。

輝かしい棋歴

若手時代から中堅時代にかけては、順位戦でその実力を発揮した。特に、C級2組からC級1組への昇級は、27期順位戦で17人中1位という圧倒的な成績で成し遂げた。その後も順調に昇級を重ね、B級2組に8期在籍。56期順位戦でC級1組に降級点を喫したのを機に、フリークラスへ転出する。2013年、65歳の定年を目前に引退を決意。同年8月16日、第26期竜王戦昇級者決定戦3回戦で阿部光瑠氏に敗れ、現役生活に幕を閉じた。

人となり

滝誠一郎氏は、後輩棋士への深い愛情でも知られている。特に、甥弟子にあたる村山聖氏には、一人暮らしをしていた時期に温かい支援を惜しまなかったという。囲碁将棋チャンネルの番組「まっすぐに生きて」では、村山氏にアロハシャツを買わせるエピソードが紹介されている。

「元気はあっても現金がないです」という口癖からもわかるように、人情味あふれる性格の持ち主だ。1980年代には新進棋士奨励会幹事を務め、羽生善治氏、佐藤康光氏、森内俊之氏、郷田真隆氏など、多くの若手棋士を指導した。先崎学氏とは麻雀仲間として親交があったという逸話も残っている。

引退後の慰労会には、かつての奨励会員たちが集まり、その人望の厚さが伺える。

エピソード

滝誠一郎氏の人生には、数々の興味深いエピソードがある。テレビ東京の『テレビ将棋対局』初代対局者として出演した経験や、日本将棋連盟専務理事時代に不適切発言で処分を受けた出来事など、波乱に富んだ棋士生活を送った。また、棋聖戦の昼食休憩中に、他棋士の焼きそばを食べてしまうというハプニングも経験している。

さらに、小学5年生でアマ四段だった羽生善治氏を二枚落ちで破った逸話は有名だ。羽生氏が奨励会に入会した際、滝誠一郎氏は幹事を務めていた。

棋士としての足跡

通算成績は486勝643敗。王座戦、NHK杯将棋トーナメントなど、数々の棋戦に出場し、将棋界に貢献した。2013年度には東京将棋記者会賞を受賞している。

まとめ

滝誠一郎氏は、棋士としての実力はもちろんのこと、人柄とエピソードも魅力的な人物である。順位戦での活躍、後輩への指導、そして数々のハプニング。そのすべてが、彼の人生を彩る鮮やかなエピソードとなっている。将棋界に多大な貢献を果たした、偉大な棋士の一人と言えるだろう。

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