沿岸漁業

沿岸漁業について

沿岸漁業（えんがん ぎょぎょう）は、自国の陸地から比較的近い海域で行われる小規模な漁業形態を指します。この漁業は、一般的に日帰りで行える距離の沿岸部で行われ、多くの場合、家族単位で経営されています。また、サバやアジ、タラ、タイといった様々な魚を漁獲対象とすることが特徴です。別名で沿海漁業とも呼ばれ、海面漁業の一種と位置付けられています。

日本における沿岸漁業の定義は、漁船を使用しない漁業や無動力船で行う漁業、さらに10トン未満の動力船を用いて行われる漁業、定置網漁業や地引き網漁業などが含まれます。これらの漁法は、比較的環境への負荷が少ないとされ、持続可能な漁業の一環としても評価されています。

経営と影響

沿岸漁業の経営は、基本的には零細なものであり、多くの漁師は家族単位での運営を行っています。しかし、近年では日本全体の漁業が厳しい状況に直面しており、沿岸漁業もまたその影響を受けています。その要因としては、魚の捕りすぎや海洋汚染、埋め立てなどが挙げられます。特に赤潮と呼ばれる現象は、生態系に大きな影響を与え、漁獲量の減少を招く要因となっています。

沿岸漁業の歴史

沿岸漁業の歴史は、幕藩体制にまで遡ります。この時期、漁業権を持つ漁民たちは特権的な地位を占めていましたが、明治時代に入ると新たな漁民が漁場に入ってくることにより、各地で漁業紛争が発生しました。この混乱を鎮めるために、明治8年（1875年）には群れとしての漁業雑税が廃止され、「海は国のもの」としての海面官有宣言が出されました。しかし、この後すぐに大蔵省からの反発があり、その方針は撤回されてしまいます。

明治23年（1890年）には「官有地取扱措置」が策定され、海面の使用は許可制になりました。また、水面使用料が徴収されるようになり、内務省と大蔵省の協議による妥協点が示されました。その後、昭和24年（1949年）に現行の漁業法が制定され、漁業権についても明確な規定が設けられました。

現在の生産量

農林水産省の最新の漁業・養殖業生産統計（平成16年概数）によれば、沿岸漁業の生産量は151万3000トンとなっています。ただし、この数値は平成8年（1996年）のピーク時、190万1000トンに比べると減少傾向にあり、持続可能な漁業へ転換することが求められています。

関連項目

沿岸漁業に関連する他の漁業形態として、沖合[[漁業]]（近海漁業）や遠洋漁業が挙げられます。また、漁具の種類も多様であり、漁業の効率化には重要な要素となっています。

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