漂流・漂着ごみ

漂流・漂着ごみの理解と課題

漂流・漂着ごみ（ひょうりゅう・ひょうちゃくごみ）は、海洋で漂うごみや沿岸に打ち上げられたごみを指します。これは一般的に「海洋ごみ」、「海ごみ」、または「マリンデブリ」とも呼ばれています。海洋には無数のごみが存在するとされ、特に腐敗しないプラスチック製品のうち微細なもの、マイクロプラスチックの量が増加しています。これらのごみは、海洋生物に対する脅威となっており、さらには一部が通過する沿岸地域にまで影響を及ぼしています。また、深海底や北極の氷中でもマイクロプラスチックが見つかっており、その影響範囲は広がっています。

実態と影響

イギリスのエレン・マッカーサー財団によれば、海洋ごみの総量は約1億5000万トンを超え、毎年800万トン以上が新たに流れ込むと推定されています。特にプラスチックごみについては、2050年には魚類の総量を超える可能性が警告されています。海流や河川を経由して流出するごみによる影響が大きく、特に長江やインダス川、ガンジス川などの河川がその主な排出源とされています。これらの河川が流すプラスチックごみの90%は10の主要な河川から供給されています。

日本国内に目を向けると、環日本[[海]]環境協力センターの調査（2001年から2010年）によって推計された日本の浜辺にある漂流ごみは約19万トンとされていますが、実際の数値は不明です。これらの漂流・漂着ごみは漁業活動や日常生活から排出されたもので、特に漁網やロープなどの漁具が多く含まれています。

対策の現在

漂流・漂着ごみに対する問題意識が高まる中、様々な対策が模索されています。特にプラスチックごみに対する規制が強化されており、2018年に欧州連合が使い捨てプラスチック製品の使用を制限する方針を示しました。これに対して日本も、業界団体による「海洋プラスチック問題対応協議会」の設立を通じて対策に取り組んでいます。

また、2018年にはカナダでG7サミットにおいて「海洋プラスチック憲章」が採択され、各国が協力して対策を進めています。しかし、特に日米の署名が欠けていたことから国際的な批判を受けているのが現状です。

ゴミ回収の試み

ゴミを効率的に回収するための技術も開発されています。アメリカの太平洋ゴミベルトでは、オランダのNGOオーシャン・クリーンアップが海洋での漂流ごみを回収するための装置を導入しています。また、日本国内でも、伊藤忠商事が対馬で漂流ごみを回収し、新たな製品開発に取り組んでいます。さらに、Seabinプロジェクトによって、港湾施設などで利用されているゴミ回収装置が逐次設置されている状況です。

日本各地の漁港やマリーナにもSeabinが設置されており、稼働している装置からは毎年、かなりの量のごみが回収されています。これにより、漁業や観光業にさえ影響を及ぼしている海洋ゴミ問題が少しずつ改善されることが期待されています。

漂着ゴミの現実

海岸に漂着するごみには地域や国によって異なる特徴があり、日本では近隣国が排出したごみが多く見られます。特に離島の海岸では、海外からの漂着ごみが蓄積され、深刻な環境問題と化しています。これは、海流による影響や、国際的な不法投棄の問題が絡んでいます。

漂着したゴミには、有害物質が含まれていることが多く、これが海洋生物やその他の生態系に影響を与えています。また、ゴミ回収の難しさや、海洋生物が誤って漂流ごみを摂取してしまう問題も深彫りすべき課題です。国境を越えた汚染問題の解決には国際的な協力が必要とされており、近年、日本や韓国、中国、ロシアといった国々の共同対策が模索されています。

近年、各国の政府による会合や対策が進行中ですが、一般市民への意識向上も重要です。海洋環境の保護は全人類にかかわる課題であり、私たち一人一人が責任を持って行動することが求められています。

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