演出空間仮設電気設備指針

演出空間仮設電気設備指針

概要

演出空間仮設電気設備指針とは、劇場やホールなどの演出空間で一時的に使用される移動電気設備に関するルールを定めたものです。この指針は、既存の劇場等の電気設備指針には含まれない事項を網羅しており、特に電気設備技術基準の解釈に基づいた具体的なガイダンスを提供します。指針内の「仮設」という用語は、一般的な「本設」ではなく、常設設備に対する意味で用いられており、その点を明確に理解することが重要です。

電気設備の基準

この指針では、IEC 60364に記載された「TT接地方式」と「TN-S接地方式」の用語が使用されていますが、指針に記載された「TN-S接地方式」は厳密にはIEC 60364の規定に合致していません。これは、内線規程1350-12の「接地工事の兼用」を指し示しているため、規格体系の理解が重要です。また、指針に明示されていない点については、内線規程を参照する必要があります。

仮設設備と常設設備

主に仮設設備に関するガイドラインですが、常設設備に関しても評価される要素が含まれています。たとえば、持込機器電源盤に関する記述があり、舞台照明や音響設備など、常設設備としての電源供給に関する詳細も参照されています。これにより、常設設備の点検や評価を行う際にも指針が役立ちます。

誤記と修正について

指針には誤記が多く見られるため、正誤表が別途公開されています。この点は文書を使用する際に十分注意する必要があります。

無資格者による作業

通常、電気工事は資格が必要ですが、この指針においては無資格者が作業を行うことができる特例があります。これは、接続をすべて差込接続器によって行うことを前提としており、より柔軟な運用が可能です。

持込機器電源盤の定義

持込機器電源盤は、仮設電気設備に電力を供給するために、劇場やホールの側で設置される電源盤です。このため、通常は「仮設電源盤」とも呼ばれますが、指針上では別の解釈がされる場合があります。臨時設置による仮設電源の取り扱いについても、特定の規定があります。

出力点は常に差込接続器であることが求められ、具体的には配線用差込接続器に従います。出力は、舞台照明や音響設備用の電源が必要となっており、以下に示す電源方式が推奨されています。

• - 舞台照明、舞台音響:

- 三相4線 105/182V（100V機器用）
- 単相3線 105/210V（200V、100V機器用）

• - 舞台機構:

- 三相3線 210V

各電源には接地線が必要で、漏電警報装置の設置も望まれます。これにより、安全性を確保し、事故を未然に防ぐことが重要です。

接地システム

仮設電気設備や移動変圧器においては、接地方式が適切であることが求められます。音響電源の接地は特に注意し、0Vの電位差が望ましいとされています。また、系統の分離についても留意が必要で、別のバンクやノイズカットトランスにより、音響信号用の接地が独立していることが重要です。

このようにして、演出空間仮設電気設備指針は、クリエイティブな業界における安全で効率的な電気設備の取り扱いを促進します。特に持込機器電源盤の設計や運用について、専門的な知識を持たない方でも理解できるよう、工夫がされています。

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