漫画BOX AMASIA

『漫画BOX AMASIA』：豪華作家陣による多様な作品群と未完の物語

講談社より2010年7月13日に発売された『漫画BOX AMASIA』は、アンソロジーコミックという枠を超えた、多様な作品群を収録した、まさに“箱”と呼ぶにふさわしい意欲的な作品集です。漫画、小説、イラスト、そしてバンド・デシネと、ジャンルを横断する多彩な表現が凝縮されており、豪華な装丁とボリューム感も相まって、多くの読者を魅了しました。

特製BOXには5冊の本と2枚の大判ポスターが同梱されており、重さは約2kg、価格は税込4800円と、その価格に見合うだけの圧倒的な存在感を誇ります。BOXのイラストは、本作品にも作品を提供している鶴田謙二による描き下ろしです。

収録作品：期待と謎を残す未完の作品たち

本作品には、数々の著名な作家が参加し、それぞれの持ち味を活かした多様な作品が収録されています。しかし、その多くは、物語の途中で「続」といった形で終わっており、読者に大きな期待と謎を残しています。

Book1『冒険エレキテ島』: 鶴田謙二による10年ぶりのオリジナル作品。150ページにも及ぶ大作ですが、未完で終了。月刊誌『アフタヌーン』での連載がアナウンスされましたが、その後続報はありません。

Book2『3/16事件』: 榎本俊二と奈須きのこによる、漫画と小説の両面から描かれた作品群。対談も収録されています。漫画『MAGNITUNING』と小説『宙の外』、そしてそれらの相互コミカライズ作品が含まれ、相互に関連性の深い作品群となっています。この書籍は後に加筆修正の上、単体でも発売されました。

Book3『Flying Marchen』: 竹のイラストーリー『Pizza Transylvania』、こうもり傘の絵本『NINIKKI』など、多様な表現手法の作品が収録されています。

Magazine『AMASIA WORKS』: 安田弘之の215ページの大作『少女撞球道 瞠と蘭』、西尾維新の小説『漫画家孵化脳』、小田扉の『犬は語らず』（『コーヒーをいれよう』の改稿版）、Luc Leon Lecoqのフランス語作品を英訳したバンド・デシネ『調律帝国の誕生』など、多種多様な作品が収録されています。これらの作品も、多くが未完で終わっており、読者に今後の展開を期待させるものとなっています。また、安田弘之によるビリヤード解説『ビリペディア』、飯田和敏による『調律帝国の誕生』の翻訳小説、そして谷口ジローの漫画『名づけえぬもの』なども収録されています。さらに、安田弘之による合作マンガ制作レポートのエッセイ漫画も含まれています。

特別付録『神罰』: ガイナックスが制作中止となったゲーム『神罰』の、1999年コミックマーケットで配布された設定資料集と、制作スタッフによる対談を収録。

ポスター: 鶴田謙二と竹による描き下ろしイラストが収録された、豪華なポスターが2枚付属しています。

合作原稿モドキ『冒険アメイジア』: 『漫画BOX AMASIA』購入者限定で販売された、複数の作家による合作原稿。

まとめ：未完成の魅力と未来への期待

『漫画BOX AMASIA』は、単なるアンソロジーコミックという枠を超え、豪華な作家陣、多様な作品、そして未完の作品群が織りなす、独特の雰囲気を持った作品集です。その未完の作品群は、読者にとって大きな期待と謎を残しており、今後の展開を期待させるものです。約2kgの重量感と4800円という価格、そして豪華な特製BOXも相まって、コレクターズアイテムとしても高い価値を持つ作品と言えるでしょう。

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