潜水艦イ-57降伏せず

映画『潜水艦イ-57降伏せず』の概要

『潜水艦イ-57降伏せず』は、1959年に公開された東宝制作の戦争[[映画]]で、日本映画における史上初のシネマスコープサイズ作品です。監督を松林宗恵が、特技監督を円谷英二が担当しています。この映画は、従来の戦争[[映画]]が描くような悲壮感よりも、隠密行動をテーマにした冒険的な要素を持つ点が際立っています。

制作背景

本作は、戦争[[映画]]の枠を超えて、娯楽性の高い作品としても評価されています。国家に裏切られた兵士たちの心情や無念さを描くことで、深いメッセージをも伝えています。海軍出身の松林監督は、海軍の独特な文化や作法に精通しており、細部にまでこだわった演出を行ったとされています。しかし、当時の実際を完璧に再現することはできなかったことを心残りに感じていたといいます。

映画の撮影に際しては、海上自衛隊の協力を得て、日本の潜水艦「くろしお」を使用し、数多くの危険を伴う海上シーンが撮影されました。自衛隊の艦艇が多数出動し、撮影に協力することでリアリティを高めました。

ストーリーのあらすじ

物語は1945年、太平洋戦争の真最中に設定されています。潜水艦「イ-57」は、敗戦の色が濃くなった中、大本営の命令でペナン州に寄港することになります。そこで某国の外交官とその娘を中立国のスペイン領カナリー諸島まで輸送するという任務を命じられます。この任務は早期講和を目指す秘密の工作でしたが、艦長や乗組員はその実情を知らずに航海を進めます。

「イ-57」は、インド洋を潜行しつつ敵艦艇からの攻撃を受け、ついには喜望峰沖に到達します。しかし、その途中、連合国はポツダム宣言を発表し、作戦は失敗に終わります。

キャストとスタッフ

主要キャストには、艦長役に池部良、先任参謀役に三橋達也が名を連ねています。他にも、多数の役者が参加し、リアルさを演出しました。また、特技監督の円谷英二が手掛けた映像技術により、海の中のシーンや戦闘の描写がリアルに表現されています。

特撮技術

本作の特撮には、円谷英二の手腕が光ります。専用に設けられた小プールで様々な海中シーンが撮影され、魚雷発射や水面描写など、革新的な技術が駆使されました。さらに、白黒フィルムながらブルーバック合成を導入し、より鮮やかな映像を実現しています。

映像ソフトと関連作品

『潜水艦イ-57降伏せず』は、後にVHSやLDとして家庭で楽しむことができるようになりました。また、関連作品として松林宗恵監督の『太平洋の翼』や、円谷英二の影響を受けた『ローレライ』などが挙げられ、映画史に残る作品として多くの人々に親しまれています。

この映画は、戦争の悲劇を描きつつも、見る者に冒険心を抱かせる作品として、今なお評価され続けています。

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