潮型掃海艇

大日本帝国海軍 旧駆逐艦転用掃海艇群

大正時代、大日本帝国海軍において掃海艇という艦種が整備される過程で、多数の旧式駆逐艦が掃海任務に転用されました。その中心となったのが、初代神風型駆逐艦を改修した艇群であり、これらは法令上の艇型名が「潮型」から「浦波型」、さらに「初代第七号型」へと変遷しました。また、その後に続く艇群として、海風型駆逐艦や楢型駆逐艦の一部が掃海艇に転用され、「二代目第七号型」および「第九号型」として運用されました。本記事では、これらの艇群が掃海艇として活動した時代の沿革と所属について詳述します。

神風型駆逐艦からの転用（潮型/浦波型/初代第七号型）

大正12年（1923年）6月30日、海軍の艦艇類別等級に新たに掃海艇の区分が設けられ、まず6隻が「第一型」として登録されました。翌大正13年（1924年）12月1日、初代神風型駆逐艦18隻、すなわち「夕立」「夕暮」「神風」「初霜」「如月」「響」「浦波」「磯波」「水無月」「長月」「菊月」「綾波」「潮」「子日」「朝風」「若葉」「春風」「初雪」が掃海艇へと類別を変更されました。これらの18隻は、大正15年（1926年）11月29日に「潮型掃海艇」として艇型が分類されます。

昭和3年（1928年）4月1日、この潮型掃海艇のうち12隻（潮、夕立、夕暮、神風、初霜、如月、響、子日、朝風、若葉、春風、初雪）が除籍されました。これにより残された6隻（浦波、磯波、水無月、長月、菊月、綾波）は、同日付で「浦波型掃海艇」へと艇型が改められます。さらに同年6月20日の海軍省令により、8月1日をもってこの6隻は「第七号型掃海艇（初代）」へと再度艇型名を変更し、艇名も番号制に改称されました。「磯波」は第七号、「浦波」は第八号、「綾波」は第九号、「水無月」は第十号、「長月」は第十一号、「菊月」は第十二号となりました。

潮型に分類されていた期間、これらの艇は主に各鎮守府の防備隊や鎮守府所属の掃海隊に編入され、沿岸域の掃海任務などに従事しました。例えば、「潮」「子日」「朝風」「若葉」「春風」「初雪」は佐世保防備隊または佐世保鎮守府の第十一掃海隊に、「夕立」「夕暮」「神風」「初霜」「如月」「響」は横須賀防備隊または横須賀鎮守府の第二掃海隊に、「浦波」「磯波」「水無月」「長月」「菊月」「綾波」は呉防備隊または呉鎮守府の第六掃海隊にそれぞれ配属されました。

初代第七号型に分類された6隻は、番号艇となってからも呉鎮守府第六掃海隊に所属しましたが、昭和5年（1930年）6月1日をもって全艇が除籍され、その役割を終えました。

後継艇群（二代目第七号型/第九号型）

初代第七号型掃海艇が全て除籍された昭和5年（1930年）6月1日、旧式駆逐艦からの掃海艇への転用は継続されました。この時、海風型駆逐艦の全2隻と、楢型駆逐艦の一部である2隻が掃海艇として類別され、それぞれ新しい艇型に分類されました。

海風型駆逐艦であった「海風」と「山風」は、「第七号型掃海艇（二代）」となり、艇名もそれぞれ「第七号掃海艇（二代）」、「第八号掃海艇（二代）」に改称されました。これらの艇も呉防備隊第六掃海隊に編入され、後に呉鎮守府第六掃海隊所属となりましたが、昭和11年（1936年）4月1日をもって両艇とも除籍されています。

また、楢型駆逐艦であった「楢」と「榎」は、「第九号型掃海艇」として分類され、艇名もそれぞれ「第九号掃海艇（二代）」、「第十号掃海艇（二代）」に改称されました。こちらも呉防備隊第六掃海隊（後に呉鎮守府第六掃海隊）に所属しました。「第九号掃海艇」は昭和11年4月1日の第六掃海隊解隊に伴い呉鎮守府附属に配置換えとなり、同年7月1日に除籍されました。「第十号掃海艇」は第九号と同日の昭和11年4月1日に除籍されています。

これらの旧駆逐艦を転用した掃海艇群は、限られた予算の中で掃海能力を維持・向上させるための措置であり、大正から昭和初期にかけて日本の沿岸警備や機雷掃海任務において重要な役割を果たしました。各艇のより詳細な経歴や要目については、それぞれの艦名を冠した個別記事を参照してください。

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