澤村宗十郎 (8代目)

八代目 澤村 宗十郎について

八代目澤村宗十郎（さわむら そうじゅうろう）は、明治41年（1908年）1月8日に生まれ、昭和50年（1975年）12月25日に逝去した歌舞伎役者であります。彼の屋号は紀伊國屋で、定紋は丸にいの字、替紋は花有り足有りの笹竜胆として知られています。俳号には高賀や東輝があり、本名は澤村壽雄（さわむら としお）です。

来歴と芸風

宗十郎は、七代目澤村宗十郎の三男として誕生しました。彼が初めて舞台に立ったのは大正2年（1913年）、帝国劇場でのことで、その時の名は五代目澤村源平でした。彼のキャリアの転機は大正15年（1926年）、四代目澤村訥升を襲名した時です。この後、彼は市川左團次の養子となり市川松筵としても知られましたが、昭和11年（1936年）に養父との不和が原因で元の名に戻ることとなりました。

その後、宗十郎は新宿第一劇場で青年歌舞伎の立女形として活躍し、その将来に対する期待は非常に大きなものでした。戦後には吉右衛門劇団に所属し、昭和28年（1953年）にはついに八代目澤村宗十郎を襲名しました。このときの舞台は歌舞伎座での『菅原伝授手習鑑』の桜丸や『宮守酒』の夕しです。

宗十郎は、自由で大らかな芸風が特徴で、特に女形としての役柄において高い評価を受けました。彼が出演した『盛綱陣屋』の早瀬では、その演技が認められ、芸術祭賞を受賞する栄誉を得ています。彼は非常に才能に恵まれていましたが、覇気に欠ける部分があったのか、また病気にも悩まされていたため、十分な活躍ができないまま67歳でこの世を去りました。

彼の代表的な役には、『伽羅先代萩』の沖ノ井や『熊谷陣屋』の藤の方、さらには『仮名手本忠臣蔵・九段目』のお石などがあります。これらの役は、彼の才能と演技力を存分に発揮した作品ばかりです。

宗十郎には、兄弟に五代目助高屋高助、五代目澤村田之助がいました。また、彼の実子には九代目澤村宗十郎、二代目澤村藤十郎が教えを受け、弟子には五代目澤村鐵之助が名を連ねています。このように、彼の影響を受けた多くの歌舞伎関係者が後の世代に続いています。

宗十郎の亡骸は田島山十一ヶ寺の受用院と多磨霊園に埋葬されています。このような彼の功績や影響は、今なお歌舞伎の世界で語り継がれているのです。

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