澤田正二郎

澤田 正二郎（さわだ しょうじろう）

澤田正二郎（新字体：沢田正二郎）は、1892年5月27日に滋賀県大津市に生まれ、大正から昭和初期にかけて大衆演劇の世界で輝かしい業績を残した著名な役者です。彼は特に新国劇を創設し、座長として多くの舞台に出演し、エネルギッシュな演技スタイルで広く知られました。

来歴と演劇キャリア

澤田は正弘と寿々子の三人兄弟の一人として生まれました。父は収税吏として働いていましたが、彼が2歳のときにその父は亡くなり、家族は東京に移りました。幼少期には下谷小学校に通い、その後開成中学校へ進学しますが、陸軍中央幼年学校の受験に失敗という辛い経験もしました。

彼は若い頃から演劇に興味を持ち、自由劇場で観た『ジョン・ガブリエル・ボルクマン』に感銘を受けたことが切っ掛けで、新劇の俳優を志すようになります。1911年、坪内逍遙主催の演劇研究所に入所、その後帝国劇場で端役を得て、2年後には東京の劇壇にデビューします。

澤田は1917年に新国劇を設立し、座長としてその活動を通じて、歌舞伎と新劇を融合させた独自のスタイルを確立しました。彼の演劇は、観客を魅了する力強さと華やかさを持っており、特に剣劇ものが人気を博しました。

成功と艱難

新国劇は旗揚げ公演こそ失敗しましたが、後に大阪での公演が好評を得て、松竹とも提携しながら活動を拡大していきました。若手俳優たちを育成するための『新国劇附属演劇研究所』を開設し、演劇界に新しい風を吹き込む役割も果たしました。

1923年には関東大震災が発生し、その影響で多くの劇場が倒壊する中、澤田は地域の人々を励ますため、日比谷公園での無料公演を企画し、劇団員とともに観客を慰めました。この経験が彼の存在意義をさらに強めることとなります。

晩年と死

澤田は演劇の中心人物として活躍を続けましたが、1929年2月に急性中耳炎から脳膜炎を発症し、3月4日にその生涯を閉じることとなります。彼の死は、日本の演劇界に深い喪失感をもたらしました。

影響と遺産

彼の舞台での激しいチャンバラや剣戟は、当時の日本映画界にも大きな影響を与えました。特に、澤田が主演した映画『国定忠治』や『恩讐の彼方に』、また『月形半平太』は、彼の独特の演技スタイルが映画に反映され、記録されています。

澤田正二郎の葬儀は盛大に行われ、多くの役者やファンが彼の最期を見守りました。弔辞を贈った著名人たちは、彼の影響力と業績を称賛し、その存在が今も多くの人々に影響を与えていることを強調しました。

彼の作品や業績は、今日の日本の演劇や映画においても受け継がれ続け、澤田のレガシーはいまなお生き続けています。

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