激情ギターラ!

ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ『激情ギターラ!』

『激情ギターラ!』（原題：Rodrigo y Gabriela）は、メキシコ出身のギター・デュオ、ロドリーゴ・イ・ガブリエーラが2006年に発表したスタジオ・アルバム。本作は、彼らが世界的な成功を収めるきっかけとなった重要な作品であり、アイルランドのレーベル「ルビーワークス・レコード」からリリースされました。その後、2007年にはアメリカやイギリス、2008年には日本やフランスなど、世界各国のアルバム・チャートを席巻しました。

背景

このアルバムは、ライブ・パフォーマンスにおける彼らの熱いエネルギーをそのまま捉えることを目指して制作されました。共同プロデューサーには、オルタナティヴ・ロック系の作品で知られるジョン・レッキーが起用されています。収録曲「フワン・ロコ」のタイトルは、レッキーのメキシコ風ニックネームに由来するエピソードも。

レコーディングで使用されたギターは、ダブリンのギター職人フランク・テイトによってカスタマイズされた特別なものでした。通常のアコースティック・ギターよりも指板が狭くて薄く、内部も木材で補強されており、パーカッションのように叩いても壊れにくい構造になっていたといいます。

収録曲には、レッド・ツェッペリンの「天国への階段」とメタリカの「オライオン」という、意外性のあるカバーも収録されています。「天国への階段」は、スタンリー・ジョーダンが演奏するのをテレビで見たことがきっかけで、ライブで演奏するようになったとのこと。「オライオン」について、ロドリーゴ・サンチェスは「私が初めてギターを弾きたくなったのは、メタリカがきっかけだった」と語り、オリジナルに忠実でありながら、2本のギター用にシンプルにアレンジし、ドラムパートを含むバンド全体の要素を再構築したと語っています。

「PPA」という曲名は、「Pinche Personal Assistant」の略で、無能でありながら自信過剰な音楽業界人を批判する意味が込められています。

反響

本作は、彼らの活動拠点であったアイルランドでアルバム・チャート1位を獲得し、プラチナ・ディスクに認定されました。シングル・カットされた「天国への階段」も、同国のシングル・チャートで39位を記録しています。

アメリカでは、Billboardのトップ・ヒートシーカーズで3位、Billboard 200で98位を記録。イギリスでは、全英アルバムチャートで最高53位を記録し、5週にわたってトップ100入りを果たしました。

フランスでは、アルバム・チャートで最高70位を記録し、40週にわたりトップ200入り。日本盤はオリコンチャートで最高70位を記録し、26週にわたってトップ300入りしました。スイスでもアルバム・チャートで90位を記録しています。

評価

オールミュージックのThom Jurekは、本作に5点満点中4.5点を付け、「ニュー・フラメンコやニューエイジ・ミュージックとは一線を画し、ジャンルや伝統を焼き尽くすような情熱的な音楽」と評価しています。また、BBCのクリス・モスは、「ロック、フラメンコ、ジャズ、メタルなど、様々な音楽からの影響を感じさせるが、このデュオは既に強力で特徴的なサウンドを確立している」と評しています。

収録曲

1. Mhara
2. Diablo Rojo
3. Vickingman
4. Rodrigo's Radio
5. Facing Each Other
6. Juan Loco
7. Ixtapa
8. Stairway to Heaven
9. Orion
10. PPA

参加ミュージシャン

ロドリーゴ・サンチェス - アコースティック・ギター
ガブリエーラ・クインテーロ - アコースティック・ギター
* ロビー・ラカトシュ - [ヴァイオリン]

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