濁川 (山梨県)

濁川の概要

濁川（にごりかわ）は、山梨県甲府市を流れる河川で、笛吹川の支流として知られています。この川は、特に生活排水を主な水源としており、山梨県内では珍しい存在です。近年、下水道の整備が進んだことにより、かつては深刻な水質汚染が問題視されていた濁川も徐々に改善を見せています。流域の水質改善に伴い、産業や環境保護の取り組みも進行中です。

流路

濁川の源流は甲府市街地であり、生活排水と雨水が混ざる水路から始まります。川は市街地を東へ流れ、小規模な河川である藤川や高倉川などと合流した後、酒折付近で南へと流れを変えます。さらに笛吹市方向から流れる平等川と並行して流れ、最終的に甲府盆地南部で笛吹川に合流します。

甲府市平和通り近くには、河川法施行以前に暗渠の上に建てられた古い住宅がかつて存在しましたが、2021年には最後の住民が立ち退いたため、山梨県はこれらの住宅を法に基づいて撤去しました。

歴史

濁川という名称は、江戸時代後期の嘉永2年（1849年）に作成された甲府絵図にも記載されています。古くから生活排水が流入し、ヘドロや悪臭が発生していた濁川は、周囲の住民にとって不快な存在であり続けました。しかし昭和中後期から平成にかけて、流域での下水道整備が進んだことから、環境が大きく改善されました。現在では淡水魚の放流や親水公園の整備も行われており、環境整備が加速しています。ただし、山梨県の中では相変わらず水質汚濁（BOD値やCOD値）において最も問題視されている河川でもあります。

また、濁川には「橋姫伝説」に関連する国玉の大橋に関する伝説も存在していましたが、現在はその橋は現存していません。この橋は、地元の歴史に彩りを添える重要な存在でした。

水質浄化の取り組み

現在、濁川は山梨県環境科学研究所と甲府土木事務所によって水質浄化のモデル実験地区に指定されています。ここでは、さまざまな取り組みが行われています。具体的には「かごマット」という小石を詰めた網状のマットが設置されており、河川が蛇行する形状にすることで多様な動植物が生息しやすい環境を作り出しています。また、石の配置により多孔質な空間が生じ、この中に棲息する微生物が有機物を分解する手助けをしています。さらに、アシなどの水生植物が流入する窒素やリンを捕捉し、全体として水質改善に寄与しています。

支流と主な橋梁

濁川には多くの支流が流れ込んでおり、藤川や高倉川、大円川、十郎川などがあります。また、いくつかの重要な橋梁も存在し、交通インフラとしての役割を果たしています。これには忠徳橋、緑橋、土橋、開運橋、第一池添橋、濁川橋梁などが含まれます。これらの橋は、濁川の近隣地域とのつながりを強化し、地域住民の生活を支えています。

濁川は、過去の歴史的背景を持ちながらも、現在進行中の環境保護の取り組みや都市開発の進展が期待される点で注目に値する河川です。

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