濃尾用水

濃尾用水

濃尾用水は、木曽川の犬山頭首工を水源とし、愛知県と岐阜県に広がる広大な農地を潤す農業用水の総称です。この用水は、単一の水路ではなく、複数の用水路が複雑に絡み合った水系全体を指し、疏水百選にも選定されています。

概要

濃尾用水は、1951年（昭和26年）に開始された国営濃尾用水土地改良事業によって、その基礎が築かれました。この事業は、木曽川から取水していた複数の用水路（木津用水、宮田用水、羽島用水）の取水口を、犬山頭首工に統合することを目的としていました。しかし、佐屋川用水は地理的な距離が離れていたため、この事業には参加しませんでした。犬山頭首工の完成後、濃尾用水は、これらの3つの用水路と、そこから分岐する用水網全体の名称として用いられるようになりました。主要な3つの用水路の総延長は約45kmですが、付随する水路網を含めると、その総延長は約260kmにも及びます。

歴史

濃尾用水の歴史は古く、江戸時代以前から個々の用水路が作られてきました。その主な歴史は以下の通りです。

1001年（長保3年）：大江用水が完成。
1610年（慶長15年）：宮田用水が完成。
1634年（寛永11年）以前：般若用水が完成。
1650年（慶安2年）：木津用水、新般若用水、奥村用水が完成。
1932年（昭和7年）：羽島用水が完成。
1951年（昭和26年）：国営濃尾用水土地改良事業が計画される。
1957年（昭和32年）：国営濃尾用水土地改良事業の着工。
1967年（昭和42年）：犬山頭首工が完成。
1968年（昭和43年）：国営濃尾用水土地改良事業が完成。
2000年（平成12年）：濃尾用水改修事業である「新濃尾農地防災事業」が着工（2014年（平成26年）完成予定）。
2006年（平成18年）：疏水百選に選定される。

これらの歴史を通じて、濃尾用水は地域の農業発展に大きく貢献してきました。

主な用水網

濃尾用水は、以下の主要な用水路と、そこから分岐する多数の用水路で構成されています。

主幹用水

木津用水（愛知県犬山市 - 名古屋市）
宮田用水（愛知県犬山市 - 一宮市）
羽島用水（岐阜県各務原市 - 羽島市）

その他の主な用水

新木津用水（木津用水から分流）
般若用水（木津用水から分流）
新般若用水（宮田用水から分流）
大江用水（宮田用水から分流）
奥村用水（宮田用水から分流）

これらの用水路は、地域全体に水を供給し、農業生産を支える重要な役割を担っています。

流域の自治体

濃尾用水は、以下の自治体を流れており、これらの地域の農業を支えています。

愛知県

犬山市、丹羽郡大口町、扶桑町、江南市、一宮市、稲沢市、清須市、小牧市、春日井市、北名古屋市、名古屋市、津島市、愛西市、あま市、海部郡大治町

岐阜県

各務原市、羽島郡笠松町、岐南町、岐阜市、羽島市

関連項目

犬山頭首工ライン大橋 - 犬山頭首工に架かる橋。

濃尾用水は、地域の農業と生活を支える重要なインフラであり、その歴史と役割は、地域の文化と深く結びついています。

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