濱野雅慎

濱野 雅慎（はまの まさみつ、1984年12月3日生まれ）は、社会人野球界で一時代を築いた名投手であり、現在は指導者として後進を育成しています。

経歴

兵庫県出身の濱野氏は、神戸西高校、そして国士舘大学と進みましたが、学生時代に全国舞台での活躍や目覚ましい実績を挙げる機会には恵まれませんでした。特に大学では、東都大学野球リーグの2部でのプレーに終始します。

しかし、大学卒業後の2007年、JR九州硬式野球部のセレクションで当時の吉田博之監督に才能を見出され、入社。吉田監督の下で下半身主導のフォームを習得したことが転機となり、それまで秘めていた潜在能力が一気に開花します。ルーキーイヤーの公式戦初戦、第62回JABA東京スポニチ大会では、準々決勝と決勝で立て続けに完封勝利を達成。この鮮烈なデビューが評価され、大会MVPと新人賞を同時受賞するという快挙を成し遂げました。

その後、チームのエースとして不動の地位を確立。2009年の第36回社会人野球日本選手権大会では、チームが出場した全5試合に登板し、うち4試合で勝利投手となる大車輪の活躍を見せ、大会MVPに輝きました。翌2010年も勢いは止まらず、第81回都市対抗野球大会では、チームが勝ち進んだ5試合中4試合で登板し、久慈賞（敢闘賞）を受賞。この2010年は彼のキャリアハイとも言えるシーズンで、都市対抗久慈賞に加え、第40回JABA四国大会MVP、第37回社会人野球日本選手権大会敢闘賞、そして社会人ベストナイン（投手）、年間最多勝利投手と、数多くの個人タイトルを獲得し、社会人野球界を代表する投手としての評価を揺るぎないものとしました。

日本代表としても活躍し、2011年にはIBAFワールドカップ、2012年にはアジア野球選手権大会、2013年には東アジア競技大会と、立て続けに代表メンバーに選出され、国際経験も積みました。

社会人野球の第一線で活躍を続けた濱野氏ですが、2013年頃からはチームの育成方針なども影響し、公式戦での登板機会が減少傾向に。そして、2018年シーズン限りで12年間の現役生活に幕を下ろしました。

プレースタイル・人物

身長のある右投げサイドスロー投手でした。ゆったりとした投球フォームから繰り出される最速146km/hのストレートと、抜群の切れ味を誇るスライダーが投球の軸でした。特にスライダーは、彼の最大の武器の一つとして多くの打者を翻弄しました。

特筆すべきはその驚異的なスタミナです。延長戦での完投や連投といった厳しい状況でも球速が落ちない持久力は「無尽蔵」と称され、彼の投球を支える重要な要素でした。

投球スタイルの特性上、右打者に対しては非常に効果的なピッチングを見せましたが、左打者にはやや苦戦する傾向も。このため、2010年頃からは左打者対策としてシンカーも投球レパートリーに加え、投球の幅を広げました。

人物としては、大学・社会人を通じて3学年先輩にあたる小松聖氏（元オリックスなど）とは深い縁があり、JR九州入社時に小松氏から背番号20を引き継いだというエピソードがあります。

指導者として

現役引退後、濱野氏は約2年半は社業に専念しました。しかし、野球への情熱は冷めず、2021年4月からは、選手として数々の栄光を掴んだ古巣、JR九州硬式野球部のコーチとして現場復帰。現在は、自身の培ってきた経験や知識を若手選手たちに伝え、チームのさらなる発展に貢献しています。

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