瀬戸電気鉄道テワ1形電車

瀬戸電気鉄道テワ1形電車

瀬戸電気鉄道テワ1形電車は、1920年に瀬戸電気鉄道によって製造された木造電動貨車です。2両が存在し、主に陶磁器の輸送に使用されました。この車両は、輸送需要の高まりに応えるために新たに設計されたものであり、特徴的なデザインと構造を持っています。

背景と目的

瀬戸電気鉄道は、主に瀬戸焼と呼ばれる陶磁器の大量生産で知られています。陶磁器の出荷と、それに伴う燃料としての石炭の運搬を行うため、当初は単軸電車が貨物輸送を担っていました。しかし、需要の増加により効率的な運送手段が求められ、専用の電動貨車の製造が決定されました。

設計と仕様

テワ1形は、名古屋電車製作所により製造され、既存のテ3・4型の電装品が流用されました。荷重は3トン、主電動機の出力はそれぞれ37HPを2基搭載し、比較的小型の車両です。形式上は有蓋車でありながら、実際は無蓋車の上に柱と梁を立てて屋根が設置されている独特の構造です。

この電動貨車は、側面に窓や板が設置されていないため、内部は吹き抜け状態でした。前後には運転室が設けられており、この運転室の正面窓は、同時期に製造されたテ28 - 32型と同様の3枚窓が用いられています。ただし、テ28 - 32が曲線形状であるのに対し、テワ1形はフラットなデザインとなっています。

運用と廃車

1939年に瀬戸電気鉄道は名古屋鉄道と合併し、テワ1形は「名古屋鉄道デワ1形（2代目）」として新たな運用が始まりました。合併後も、この車両は瀬戸線で運用を続け、特に尾張瀬戸駅と尾張横山駅での入替作業を担当しました。これにより、尾張地区の貨物輸送に貢献しました。

しかし、1960年8月には、テワ1形の2両ともが廃車となる運命を迎えました。長きにわたった運用の歴史に幕を閉じる形となったのです。

参考文献

このテワ1形電車について詳細な情報は、以下の資料から確認できます。

• - 清水武・田中義人・澤内一晃著『名古屋鉄道の貨物輸送』(
• - 名鉄資料館平成27年秋特別展『名鉄の電気機関車「デキ」写真展』
• - 『せとでん100年』山田司・鈴木裕幸著（中日新聞社、2005年）

このように、テワ1形電車は瀬戸電気鉄道の歴史において重要な役割を担っていました。その独特な設計と運用の様子は、現在でも多くの鉄道ファンにとって魅力的なテーマとなっています。

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