火国

火国についての詳細

火国（ひのくに）は、古代日本に存在した国の一つで、主に筑紫島（現在の九州）に位置していました。8世紀まで存続していたこの国は、肥前国（現在の長崎県と佐賀県）と肥後国（熊本県）を合わせた地域を指すことがほとんどですが、国の範囲については様々な説があります。

概要と起源

火国の歴史を知るための重要な文献は『国造本紀』です。この書によると、火国の初代国造は神八井耳命の子孫である志貴多奈彦命の後裔、遅男江命に任じられたとされています。この伝承は第10代崇神天皇の時代に遡ります。また、火国造の祖として健磐龍命を挙げる歴史家もいます。

更に、『日本書紀』には第12代景行天皇と襲国の襲武媛との間に生まれた三兄弟、国乳別、国背別、豊戸別の中で、最も末っ子である豊戸別が火国別の初代とされています。このように火国のルーツは多面的であり、神話や皇室の血筋と深く結びついています。

地理的な範囲

火国の地理的な概念は、肥前国と肥後国に基づく場合と、筑後国を含める場合によって異なります。肥前国は筑後国の西側に位置し、肥後国はその南に広がっていますが、両者の間には有明海があるため、物理的には接触していません。そのため、古事記に登場する肥国の範囲は不明確です。

歴史文献『先代旧事本紀』によっては、西九州には末羅国、葛津国、筑志米多国などの国もあったことが記されており、肥国の正確な地理的および政治的な範囲については多くの議論があります。

肥前国と肥後国

• - 肥前国（長崎県・佐賀県）は、各郡が存在し、特に基肄郡や神埼郡といった地域が含まれます。
• - 肥後国（熊本県）は、玉名郡、阿蘇郡などの地域を抱え、阿蘇山周辺は阿蘇国としての役割も果たしていました。

場合によっては、筑後国（現在の福岡県南部）も火国に含むという見解もあり、これにより御原郡や三潦郡などの地域も含まれます。

歴史的背景

火国における古墳時代の資料では、火国別造の始祖である豊戸別が景行天皇の子であることが記されています。景行天皇の時代には、神埼に櫛田宮が創建され、これは後に博多の櫛田神社の祖となる重要な神社です。

6世紀初頭にはチブサン古墳が築かれ、これは装飾古墳として知られており、地域の有力者の墓と考えられています。

8世紀に入ると、日本の律令制度に伴い、長崎県や佐賀県に肥前国が、熊本県には肥後国が設置され、火国の名が歴史の表舞台から消えていきました。

明治時代までの変遷

幕末から明治にかけて、火国の地は改めて再編成され、肥前は長崎県と佐賀県に、肥後は熊本県として認知されました。地域の変遷を通じて、火国という名称は歴史の中に埋もれていきましたが、その存在は今でも古代の神々や習俗に影を落としています。

参考資料

• - 鹿児島県『鹿兒島縣史 第一巻』

火国は古代日本の歴史において、多くの謎と興味深い故事を持つ国であり、その存在は現代の九州にいかに影響を与えているかを考える上で、忘れてはならない重要な要素となるでしょう。

もう一度検索