火引弾

火引弾 (ひびき だん) - サイキョー流を極める、愛すべき"最強"の二流格闘家

火引弾（ひびき だん）は、カプコンの対戦型格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズに登場する、一風変わったキャラクターです。シリーズの主人公であるリュウやケンと同じ師匠を持つ兄弟子でありながら、その実力は彼らとは大きく異なり、独特な魅力を持っています。

キャラクター概要

『ストリートファイターZERO』で初登場したダンは、隠しキャラクターでありながら、その弱さが最大の特徴です。これは、一般的に隠しキャラクターが強く設定される傾向とは対照的です。彼はリュウやケンと同じく剛拳に師事していましたが、破門された後に我流の格闘術「サイキョー流」を編み出しました。しかし、その実力は中途半端で、自信過剰な言動とは裏腹に、どこか憎めないコミカルなキャラクターとして描かれています。

中平正彦の漫画作品『ストリートファイターZERO』や『さくらがんばる!』での設定がゲーム本編に取り入れられ、春日野さくらやブランカといったキャラクターとの関係も深くなっています。

キャラクター設定

ダンは香港在住の日系人で、父親も格闘家でした。しかし、ムエタイの帝王サガットとの試合で命を落としてしまいます。この時、父親はサガットの片目を奪っています。以来、ダンはサガットを父の仇として追いかける一方で、独自に編み出した格闘術「サイキョー流」を広めるため、世界中を駆け回っています。

シリアスな過去を持つ一方で、ダンは『ストリートファイターZERO2』以降の作品では、実力に見合わない自信過剰なコミカルなキャラクターとして描かれるようになりました。彼の道着はピンク色で、これはファッションセンスがないためという設定です。また、リュウやケンとは異なり、道着の下に黒いアンダーシャツを着ており、これは亡き父の格好を真似たものとされています。

人物像

ダンは、勘違いに近いほどの自信家で、自惚れが強い性格です。しかし、努力を怠っているわけではありません。その実力に見合わない大きな態度から、他のキャラクターからは呆れられることも多いですが、前向きで威勢の良い性格は、一部のキャラクターからは評価されています。

春日野さくらとは師弟関係を自称していますが、実際には技のコツを教えた程度の関係です。ブランカとは親友であり、彼のことを本名の「ジミー」と呼んでいます。また、ブランカの言葉を理解できる数少ない人物の一人でもあります。多言語話者であり、日本語、英語、タイ語、広東語に堪能な上、フランス語、ロシア語もいくらか理解できるため、さくらからは通訳として頼られています。

サイキョー流

ダンが使用する我流の格闘技「サイキョー流」は、剛拳の教えを基に、ダン独自の改良を加えたものです。しかし、「挑発を重視した格闘スタイル」など、技の錬度や実用性には疑問が残ります。『CAPCOM VS. SNK』シリーズでは、ガイルから「素質を無駄にするスタイル」、鑑恭介からは「そんな格闘技は聞いたことがない」と言われています。

ダンは故郷の香港に道場を構え、弟子もそれなりに集まっています。しかし、知名度が低いため、入門希望者はほとんどいません。そのため、ダン自身が広告塔となり、サイキョー流の強さを証明することで弟子集めに奔走しています。また、生活のために格闘技用品や洗剤など、「サイキョー流ブランド」の商品を開発・販売するなど、商才の片鱗も見せています。

SNK作品との関連

ダンのキャラクター設定は、SNKの格闘ゲーム『龍虎の拳』のパロディになっています。外見や必殺技なども、『龍虎の拳』の主人公リョウ・サカザキとロバート・ガルシアを足して割ったような姿に作られています。これは、開発者が「他社のゲームに、苦労して作った（キャラクターのアニメーション）パターン（＝リュウとケン）をそっくり真似られた」ことへの反発から生まれたとされています。

ゲーム上の特徴

ダンは意図的に弱いキャラクターとして作られており、その弱さを逆手に取った戦い方が求められます。通常技や必殺技は、リュウやケンの劣化版であることが多く、使いづらいものばかりです。しかし、突進技の「断空脚」は比較的まともな性能であり、この技を主軸にして戦うことになります。また、挑発はダンの特徴の一つであり、無制限に使用することができます。

まとめ

火引弾は、ストリートファイターシリーズにおいて、異色の存在感を放つキャラクターです。その弱さやコミカルな言動は、時にプレイヤーをイライラさせることもありますが、どこか憎めない愛嬌があり、多くのファンに愛されています。彼は、格闘ゲームにおける「強さ」の概念を覆し、新たな楽しみ方を提案してくれる存在と言えるでしょう。

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