火打城の戦い

火打城の戦い

火打城の戦い（ひうちじょうのたたかい）は、平安時代末期の治承・寿永の乱（源平合戦）において、越前国（現在の福井県北部）と加賀国（現在の石川県南部）の在地勢力が平氏政権に対して起こした反乱に対する、平氏側の鎮圧作戦における緒戦となった戦いです。火打城は、燧城、燧ヶ城とも表記されます。

戦いの背景

養和元年（1181年）夏頃、北陸地方では在地豪族たちの間で平氏に対する反感が強まり、反乱が頻発していました。平氏は、平通盛と平経盛を将とする追討軍を派遣しますが、反乱勢力を鎮圧することができず、都へ引き返しました（養和の北陸出兵）。

翌養和2年（1182年）は、養和の大飢饉の影響が深刻化し、鎮西（九州）以外への出兵は見送られました。しかし、寿永2年（1183年）に入ると飢饉の状況は改善に向かい、平氏は東国における反乱勢力の討伐を再開しました。その中で、まず兵糧の供給地であった北陸道の確保が最優先課題となりました。

戦いの経過

寿永2年（1183年）4月17日、平氏は平維盛を総大将とする北陸追討軍を派遣しました。4月26日には平家軍は越前国に侵攻し、翌27日には、越前・加賀両国の在地反乱勢力が立て籠もる火打城を包囲しました。しかし、火打城は川を堰き止めて作られた人工の湖に囲まれており、平氏軍は容易に攻め入ることができませんでした。

数日間、平氏軍は城を包囲し続けますが、膠着状態が続きました。その状況を打開したのは、城に籠っていた平泉寺（現在の福井県勝山市にある寺院）の長吏である斉明でした。斉明は平氏に内通し、人工湖の破壊方法を教えました。この情報を得た平氏軍は、湖を破壊して城内へ侵入し、ついに火打城を攻略しました。その後、平氏軍は加賀国へと進軍しました。

戦いの影響

この戦いは、平氏が北陸地方での勢力を回復するための重要な一歩となりました。しかし、この後も北陸地方では反乱が相次ぎ、平氏の支配は不安定な状況が続きました。

その他

『玉葉』には、この時の追討の宣旨の内容が「源頼朝、同信義、東国北陸を虜掠し、前内大臣に仰せ追討せしむべし」と記されており、当時の都の人々が当初から源義仲を追討の目的とは認識していなかったことが分かります。

参考文献

上杉和彦『日本の戦争史 6 源平の争乱』吉川弘文館、2007年。

関連項目

湯尾峠 - 火打城（燧城）の北約2キロメートルにある峠。

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