火火

映画『火火』の紹介

『火火』（ひび）は、2005年1月22日に公開された日本映画で、女性陶芸家・神山清子の実際の人生を基盤にした作品です。この映画は、那須田稔と岸川悦子の共著によるノンフィクション『母さん 子守歌うたって - 寸越窯・いのちの記録』を原作としており、監督と脚本は高橋伴明が手掛けています。主演は田中裕子が果たしました。映画の中心テーマは、陶芸というアートを通じての親子の絆や、骨髄バンク設立の意義にあります。

作品の概要

本作は、信楽焼を代表する女性陶芸家・神山清子の半生を描く物語です。清子は、信楽での陶芸活動を通じて母としての苦悩を抱えながらも、息子・賢一との絆を育んでいきます。物語では、信楽焼が白血病と骨髄バンク設立の背景にあることを中心に、清子と賢一が共に築く焼き物作りへの情熱や喜び、時には厳しい現実と戦っていく様子が描かれます。

あらすじ

信楽焼の陶芸家を夫に持つ清子は、地元の風習から女性が陶芸に携わることが難しい状況の中、夫の反対を押し切って独自に作品を作り始めます。しかし、夫の不貞により蒸発したことで、清子は陶芸の世界に一人で立ち向かうことを決意します。未熟な陶芸スキルを持ちながらも、清子は小学生の二人の子供・賢一と久美子を育てなければならず、困難な生活を強いられます。

生活苦の中、清子は自然釉の古い信楽焼きの欠片を子供たちに見せ、「これを復活させるのが私の使命だ」と励まします。やがて、努力の末に彼女は自らの作品で個展を開催し、周囲から陶芸家として認められるようになります。

数年後、清子の子供たちは成長し、賢一は窯業の学校に通います。そこで彼は長坂みどりという女性と出会い、恋愛関係へと発展します。しかし、賢一はある日突然倒れ、病院で慢性骨髄性白血病の診断を受けます。病に立ち向かう賢一と、彼の命を救うために奔走する清子の姿が物語の中心をなします。

清子は、賢一の治療のために骨髄移植ドナーを探しますが、親族からの適合者は見つかりません。そこで、彼女は「賢一を救う会」を組織し、より多くの人々の協力を呼びかけます。活動の結果、賢一には病気と闘う力が与えられ、彼自身も陶芸に向き合う姿勢を見せるようになります。

賢一がついに骨髄移植を受けることになり、清子たちの活動が実を結ぶ瞬間が訪れます。病室での賢一の誕生日の祝福、そしてそれを支え合う家族や仲間の姿が感動的に描かれています。

キャスト

• - 神山清子（演：田中裕子）: 信楽焼を愛し、骨髄バンク設立のために尽力する強い母。
• - 神山賢一（演：窪塚俊介）: 清子の長男、陶芸への情熱を持つ若者。
• - 神山久美子（演：遠山景織子、寿美菜子）: 清子のしっかりした娘。
• - 長坂みどり（演：池脇千鶴）: 賢一の恋人として、彼を支える女性。

制作の背景

映画は、滋賀県信楽町でのロケを通じて、神山が使用する本物の穴窯を用い、陶芸制作のリアリティを追求しました。また、骨髄採取のシーンは実際の無菌室を使用し、臨場感あふれる描写がなされています。

主題歌「愛の絆」などの音楽も、作品の感動をより引き立てる要素となっています。

この映画『火火』は、家族の絆や、人の命を大切にすることの大切さを再認識させてくれる、感動的なドラマとして多くの人々に愛され続けています。

もう一度検索