火球

火球：夜空を彩る神秘的な光

夜空を突然駆け抜ける、非常に明るい流星。それが火球です。流星の中でも際立って明るく輝く火球は、時に人々の注目を集め、畏敬の念を抱かせる天体現象です。本稿では、火球の定義、観測方法、そしてその音などについて詳しく解説します。

火球の定義

火球とは、大気中で蒸発する、あるいは隕石となって地表に落下するなど、非常に明るく輝く流星を指します。その明るさは、地球だけでなく、木星などの他の天体の大気中でも同様に定義されます。

国際天文学連合（IAU）の流星・隕石・惑星間塵委員会は2017年、火球を「絶対等級が-4等級よりも明るい流星」と定義しました。一方、国際流星機構（IMO）では、観測者の天頂で観測された場合に-3等級以上の明るさになる流星を火球と定義しています。

英語ではfireballやbolideと呼ばれ、IAUの定義では両者は区別されませんが、アメリカ流星協会（AMS）では、特に最後に爆発を伴う火球をbolideと区別しています。科学的な観測ではなく、一般的な目撃に基づく場合、火球の明るさの境界線は曖昧で、主観的な判断になります。

火球の観測

明るい火球が隕石として落下した場合、その軌道は火球の目撃情報から推定できます。より正確な情報を得るために、火球監視カメラによる自動監視も行われています。

流星群の観測では、流星の明るさの統計が重要な研究材料となるため、主な流星群における火球の出現状況が詳細に調べられています。しかし、流星群に属する火球が隕石になった例は、現時点では確認されていません。

火球の観測においては、出現時刻と方角を記録することが重要です。これらの情報は、複数の観測者によるデータの照合や、飛行経路の特定、さらには隕石落下位置の推定に役立ちます。

なお、夕方の西の空で火球のような物体が観測される場合がありますが、多くの場合、飛行機の誤認です。

アースグレイジング火球

アースグレイジング火球は、地球の接線方向に飛行経路を持つ火球で、地表からはまるで再上昇するように見える軌道を描きます。2006年3月29日には、日本でこの現象が観測されました。

火球の音

火球は、その経路に沿って衝撃波を形成します。大きな火球の場合、この衝撃波はソニックブームとして地表に到達し、大きな音を伴います。衝撃音は火球の経路に直交して広がりますが、大気の温度差による反射の影響を受けます。

火球の経路と地表の角度が大きいと、地表まで到達しにくい一方、角度が小さいと、広範囲にわたって大砲や遠雷のような音を響かせます。特に大きな火球の場合、窓ガラスの破損などの被害をもたらす可能性があります。2013年のロシア・チェリャビンスク州の隕石落下では、衝撃波による被害範囲が180×80キロメートルに及んだと報告されています。

一方で、火球や流星が流れるのと同時に、かすかな音が聞こえたという報告も多くあります。しかし、これらの現象は高度数十キロメートル上空の中間圏で発生するため、物理的な音が地表に到達するには数分かかるはずです。にもかかわらず、音が伴う観測例が多いことは大きな謎であり、電磁波音などがその原因として提唱されています。

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